経営の健全性・効率性について
平成29年度は経常収支比率が106%となり、費用抑制の効果が大きかった前年度とほぼ同値となりました。収支を前年度と比較すると、収益のうち営業収益は微減となった一方、営業外収益は増加し、収益全体ではほぼ同額となりました。費用は修繕費や固定資産除却費が増加した一方、人事異動により職員給与費が大幅に減額し、費用全体ではほぼ同額となり、費用抑制を維持することができました。流動比率は、健全な状況を保っています。企業債残高対給水収益比率の上昇は、収益が減少傾向にあることと起債残高が上昇していることの二つの要因を持っています。将来へ負担を先送りしないように適正な水準を見極め、起債借入の抑制や繰上げ償還を検討していく必要があります。給水原価は、費用抑制により改善した前年度とほぼ同値となりました。今後は、費用については大きな増減なく推移していく一方、年間有収水量は減少していく見込みのため、給水原価は増加推移していく見通しです。それに伴い料金回収率は減少推移が見込まれるため、今後も費用抑制に努めるとともに料金収入の向上を図る必要があります。施設利用率は、類似団体と比較し低い数値となっておりますが、営農用の新規利用で配水量が増加する見込みもあるなど、スペックダウンやダウンサイジングについては慎重に検討を進めていく必要があります。有収率は類似団体平均と比較して高い水準となっています。引き続き維持できるよう、施設の適切な維持管理に努めてまいります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は上昇傾向にありますが、平均値と比較しても数値が小さいことから現有資産の多くは耐用年数を多く残している資産と判断できます。これは管路経年化率からも同様の傾向がみられるため、管路の老朽化は低い状況にあるといえます。現在の管渠更新は、市街地区の石綿セメント管の取替に重点を置いています。耐震性に難点があり、老朽化の著しい市街地区の石綿セメント管を更新していくことで、水道水の安定供給を目指しています。
全体総括
平成28年度に経営戦略を策定し、水道事業の経営方針を定め、事業環境の現状や将来予測を踏まえた投資・財政の計画〈収支計画〉を立てておりますが、その収支計画では今後10年間は黒字の見込みです。平成29年度の経営状況は、費用の抑制により各指標の数値が改善した前年度と同水準の数値を維持していますが、依然として料金収入が増加する見込みは薄いため、厳しい経営環境となっています。経営戦略を確実に実践し、検証と改善を繰り返すことで今後も安定した事業運営に努めていく必要があると考えています。