経営の健全性・効率性について
本町の水道事業は,平成22年2月に策定した簡易水道事業統合化計画に基づき段階的に統合を進めている。そのような中,平成27年度からは4つの簡易水道事業を統合し,「第2上水道事業」として運営を行い,既存の上水道事業と合わせ2つの上水道を有している。本町は年々過疎化が進行し,平成23年度には給水人口が22,399人であったが,平成27年度末では20,920人と5年間で1,479人減少し,併せて総給水量も5年間で21,045㎥減少している。事業経営面では,過疎化により5年間で給水収益が21,045千円減少(1年平均約4,200千円減少)しているが,平成27年度から水道課職員の1名減や歳出経費の圧縮を図ったことから,平成27年度末では26,878千円の純利益を生じており,②累積欠損はない。一方,長年の懸案事項であった「中央監視システム整備」が平成26年度から28年度までの計画で進行中であり,平成27年度においても,30,000千円の新たな起債借入を行い,110,000千円程度の投資を行っている。この中央監視システム整備費の投資により取得資産の減価償却が平成27年度から発生することから,①経常収支比率,⑤料金回収率が平成27年度で低下し,新たな起債借入により④企業債残高対給水収益率で上昇したと分析している。しかし,いずれも類似団体平均とほぼ同じ状況であり,現状では健全な事業運営がなされているが,今後大型投資による減価償却費の増,老朽施設の更新経費,給水人口の減少による給水収益の減など厳しい経営環境になると思われるため,引き続き効率的な事業運営に努める必要がある。平成26年度からの③流動比率の減少は,法改正による会計処理変更によるものであり,⑦施設利用率の増加は経営変更認可時における計画給水人口の見直しによるものである。⑧有収率がH27に減少したのは,平成28年1月末の寒波被害による給水管からの漏水の増大に対し,水道料金を一律減免措置した影響によるものである。
老朽化の状況について
本町の水道管路総延長は平成27年度末で約447km有しており,そのうち約6.3%の27.46kmについては法定耐用年数を経過した管となっている。(②管路経年化率)そのほか,石綿管が約800m埋設されており,老朽管と合わせの更新が急務となっている。老朽管の更新には多額の投資的経費が必要であるが,1.経営の健全性に記載のとおり,給水人口減少に伴う給水収益が減少傾向であり,安定財源の確保が困難になりつつあるため,老朽管の更新が計画的に進まない現状にある。(③管路更新率)今後,昭和50年代に創設された「旧簡易水道」の施設が一挙に法定耐用年数を迎えることになるが,限られた財源の中で,老朽施設の更新と併せ耐震性への移行も課題であり,計画的な更新が必要である。
全体総括
本町は平成17年3月に3町が合併して誕生した町であるが,合併時の人口25,688人が10年経過した平成27年末で22,775人と10年間で2,913人減少している。更に,今後30年度には15,000人代まで減少する予測がされており,給水人口も同様に急激な減少となる見込みである。平成27年度末現在では,経営状況の各指数は類似団体と同様であり,累積赤字もなく,健全な経営がされているが,今後給水収益の減少,老朽施設の更新経費の増大など極め厳しい経営環境になることが予測される。平成29年度からは,水道事業も一本化される予定であるが,施設の統廃合,スケールダウンなども検討しながら効率的な事業運営が望まれる。