経営の健全性・効率性について
①②経常収支比率、累積欠損金比率経常収支比率は料金改定及びバイオマス発電所の稼働により平成28年度から料金収入が増加したことで100%以上を確保しているが、浄水場更新に係る建設改良費の償却が開始されていないことに留意が必要である。③流動比率当市は104~121%と類似団体平均と比較して低い推移となっており注意が必要である。今後、水道使用料の増加による収益増が見込めないことから、インフラ更新の見直しによる企業債の発行の抑制が必要である。④企業債残高対給水収益比率配水管整備や導水管更新事業により、増加傾向となっており、平成28年度以降は料金収入がほぼ一定にあるのに対し、企業債残高は増加傾向であることから比率も年々増加している。令和3年度はやや減少し、給水収益もやや増加したが、引き続き将来の負担が大きくなりすぎないよう注意が必要である。⑤⑥料金回収率、給水原価料金改定及びバイオマス発電所の稼働により料金収入が増えたことで平成28年度から料金回収率は改善傾向であり、令和3年度は前年度と比較して電気料や資産減耗費の増加により給水原価が上昇したことに伴い料金回収率は下がっている。これから浄水場整備事業で投資した分の減価償却費や維持管理費が発生することから、給水原価の上昇が見込まれる。⑦⑧施設利用率、有収率バイオマス発電の稼働で平成29年度より有収率は上昇しているが、類似団体と比較して低い状況にあり、要因としては老朽管の漏水が考えられるため、老朽管更新や漏水調査に努める。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率配水管整備や導水管の更新事業により、昨年に引き続き令和3年度も類似団体平均と比較して-6%と低く推移している。②③管路経年化率、管路更新率管路更新率は類似団体平均を上回っているが、経年化率も平均を上回り、今後も増加する見込みであるため、老朽管の更新を計画的に進めていく。
全体総括
当市の水道は昭和初期に創設され、人口増加や水産業の発展と供に6回にわたる拡張事業を実施してきた。平成28年からの木質バイオマス発電所の稼働により給水収益、有収水量、給水原価、料金回収率等多くの面で改善傾向が見えるが、人口減少、水産業衰退、大学撤退などの社会的要因も影響し、水の需要も減少、経営の健全性・効率性について多くの指標で平均値を下回っている。また、昭和40年代~60年代に布設された管路が多く、老朽化が進んでいると同時に、その多くが耐震性を有していないことから、今後更新費用の増大が見込まれる。経営の健全性と更新需要の増大に対応するため平成28年度に料金改定を行っているが、今後も現行料金の見直しや経費の縮減を図りながら、安定的な経営の継続を進めていく。