経営の健全性・効率性について
➀経常収支比率は、経常費用のうち人件費や資産減耗費等が減少したことにより、1.1ポイント増の116%となった。しかし、⑤の料金回収率は上昇してはいるものの、依然として低い数値であるため、一般会計からの繰入等の料金収入以外の収入に依存する構造は変化していない。③流動比率は、受水費の減額等の理由から前年度末現金預金残高が増加に転じると同時に流動比率も上昇した。しかし、類似団体平均値及び全国平均値と比べて低く、短期の支払い能力が劣っていると言える。④企業債残高対給水収益比率は、企業債の年度末未償還残高が前年度末対比で約6千5百万円減額したことにより低下したが、類似団体平均値及び全国平均値と比べて高い水準にある。今後給水収益が減少することが予測されることから、適切な更新投資により企業債の発行を抑制していく必要がある。⑤料金回収率は、経常費用の減額による給水原価の低下により1.88ポイント改善し、90%台にはなったものの、類似団体平均値及び全国平均値と比べて低い水準にある。⑥給水原価は、経常費用の減額により約1.9%低下したが、今後も費用抑制に努める必要がある。⑦施設利用率は、一日平均配水量の減少によりわずかに低下したが、今後の給水人口減少等を見込んで、施設の適切な統廃合・ダウンサイジング等を検討する必要がある。⑧有収率は、0.29ポイントの増であり、若干上がる結果となった。類似団体平均値を上回ってはいるものの、引き続き漏水調査に基づく修繕や管路の布設替により改善を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
➀有形固定資産減価償却率は、前年度比で若干上昇した。類似団体平均値や全国平均値を下回ってはいるが、老朽化した施設について優先順位を定めて計画的、効率的な更新を行っていく必要がある。②管路経年化率は、類似団体平均値、全国平均値を下回っているものの、1.99ポイントの増となった。今後も経年化率を抑えるために、引き続き優先順位を定めて計画的、効率的な更新を行っていく必要がある。③令和3年度における管路の更新実績は、0.59ポイント減となり、前年度実績を下回ったが、類似団体平均値を上回る水準にある。更新ペースは、配水管の法定耐用年数の2倍以上の年数を要しているが、今後は、実耐用年数を勘案して更新を行う等過剰な投資とならないよう財政状態とのバランスを図りながら計画的、効率的な管路更新を図っていく必要がある。
全体総括
経常収支は比較的安定していると言えるが、一般会計からの繰入に依存する(営業損失を営業外利益で補う)構造がある。今後、高料金対策に係る繰入が段階的に減少していくことから、経常収支の悪化を防ぐ手立てが必要である。資金収支では、業務活動による資金の増加が、投資活動及び財務活動による資金の減少を補うことにより、前年度末よりも現金預金が増加する結果となった。今後、給水収益の減少、一般会計からの繰入の減少、企業債償還金の増加、光熱費や物価の高騰等、現金預金が減少する要因が複数存在する。今後安定的な経営を行っていくためには、適切かつ効率的な施設管理や費用の抑制に努めつつ、適正規模の投資を行っていく必要がある。老朽化対策、耐震化対策等多大な資金が必要となるが、施設の状況把握に基づく優先順位等を考慮して投資計画を逐次見直し、収支見通しを立てながら進めていく必要がある。こうした取り組みの中で、必要な財源確保のための適正な料金水準等の検討も行っていく必要がある。