経営の健全性・効率性について
【経常収支比率】については、平成24年度に低い水準となっているが、その要因として、平成23年度に取得した固定資産に係る経常費用の増加が要因として考えられる。平成23年度に大規模な固定資産取得を行い、それに係る減価償却費が平成24年度から計上され始め、企業債利子償還額が増加したことによる経常損益の減少となったが、比率自体は100%を超えており、設備投資等による経営の効率向上に繋がっているため、全国平均値や類似団体平均値より低い数値となっているが、問題ないと考える。【累積欠損金比率】は0%であるため、経営の健全性に問題はない。【流動比率】については、平成25年度から平成26年度にかけて同比率が大きく減少しているが、これは会計基準の見直しにより資本剰余金の一部を繰延収益へ振替したことによる比率減少であるため経常損益と併せて経営に影響はないものである。【企業債残高対給水収益比率】について、平成23年度の固定資産取得の際に借入れた企業債があることから、一時的に比率を引き上げる原因となった。類似団体等と比較して、給水収益に対しての企業債残高比率が高くなっているが、将来の企業債借入れ及び償還の推移を予測していくと、平成37年度には平成28年度の約70%程度まで企業債残高が減少していくと考えているため、中長期的な観点から現在の比率が高いことに関しても問題ないと考える。その他の項目【料金回収率、給水原価】については、毎年同程度の推移にて経営が保たれており、類似団体平均値と比較しても経営が健全であると見て取れ、【施設利用率】についても平均値より大きく上回っていることから、本町の施設利用状況や規模は適正であるといえる。しかし、【有収率】については、類似団体や全国平均と比較しても改善の必要性があることから、漏水調査の結果に基づき管路の更新を勧め、対応していく必要がある。
老朽化の状況について
【有形固定資産減価償却率(%)】については、全国及び類似団体の平均値を下回っており、償却資産の老朽化が比較的抑制傾向にあるが、年々、減価償却の対象となる有形固定資産の取得価額よりも減価償却累計額の割合が多くなっている。管路については、【管路経年化率(%)】のとおり、平成28年度は、全国平均値及び類似団体平均値より低い数値を示しているものの、法定耐用年数を経過した割合が年々増加している傾向にある。また、【管路更新率(%)】についても、全国及び類似団体平均値を大きく下回る数値となっている状況であることから、既設管路の更新に予算を傾斜配分して、計画的に工事を進める必要性がある。
全体総括
本町の水道事業における経営状況は、経営の健全性・効率性を比較分析すると、【経常収支比率(%)】、【流動比率(%)】等、全国平均値や類似団体平均値より低い数値を示す指標が認められるものの、数値的には問題なく健全性が保たれている状態といえる。しかし、高度経済成長期に集中的に整備してきた管路等に係る更新時期が近づいていることに加え、既に法定耐用年数を超過した老朽管路も増加している。これらの状況を踏まえ、早急に財政面と投資面の均衡が図れる将来の水道事業を見据えた計画の必要性の認識をし、平成28年11月に「高原町水道事業経営戦略」を策定し、平成37年度までの中長期的な経営方針を定めている。(平成29年11月に一部改正をして、より精度を向上させた。)アセットマネジメントの理念により継続的かつ計画的な管路及び施設の更新を実施することで、更なる経営の健全性を確保し、今後とも良質な水道水を安定的に供給していく。