多久市：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

●経営の健全性累積欠損金もなく経常収支比率も100％を超えているが、経常費用に占める受水費の割合が高いため、給水原価は全国及び類似団体平均値を大きく上回っている。そのことは料金回収率にも影響している。平成27年度の料金回収率は、給水原価が低下したことにより上昇したものの、依然として経営に必要な経費を料金収入で賄うことができていない。流動比率は、前年度からやや低下し、類似団体平均値を下回っている。また、企業債残高対給水収益比率については、平成22年度に公的資金補償金免除繰上償還を実施したことによって一時的に減少したが、平成25年度からの管路更新のための企業債の活用と給水収益の減少により、高い比率で推移している。●施設の効率性施設利用率、有収率とも全国及び類似団体平均値を下回っている。前年度と比較して施設利用率が上昇し、有収率が低下した原因としては、平成28年1月の寒波漏水による最大配水量の増加と有収水量の減少が考えられる。施設利用率については、近年の人口減少に伴う給水量の減少や、山間部に点在する集落が多いなどの地理的特徴も大きく影響している。有収率の向上にあたっては、老朽管等による漏水を防止するため、今後も計画的な老朽管更新等を進めていく必要がある。

老朽化の状況について

管路経年化率は全国及び類似団体平均値を上回っている。昭和42年から上水道の供用が開始され約50年が経過しており、耐用年数を経過した管路が多数存在し、経年劣化に伴う漏水などの大きな要因となっている。平成25年度に策定した「多久市水道施設整備計画（平成25年度～平成34年度）」の石綿管更新事業、老朽管更新事業等を実施することにより、老朽化した管路の更新を進めている。

全体総括

全体を通じて平成27年度の経営の健全性は概ね確保されているといえる。しかし、給水人口の減少や節水型機器の普及等による有収水量の減少に歯止めがかからない状況で、料金回収率が100％を下回っていることから、更なる経費節減に努めるとともに、各指標の傾向を十分に分析し、資産維持費を含めた適正な水道料金収入の確保や有収率の向上等の対策を講じる必要がある。今後は、給水人口の推移や水需要の動向に注視しながら施設規模の見直しや老朽施設の更新等の検討を行い、広域的統合を見据えた計画的で効率的な経営に努めていく必要がある。