経営の健全性・効率性について
上島町上水道事業の経営については、全国や類似団体との平均値との差にも表れているように、概ね良好な数値を示しており、健全経営が確保できているものと判断できる。今後も少子高齢社会による水需要の低下が想定されるため、経常費用の抑制に努め、健全経営を維持できるよう取り組む。①経常収支比率122.22%と前年度に比べ2.45%回復し、②累積欠損金は0である。③流動比率についても、2875.45%と前年度より446.29%低下しているが、④企業債残高対給水収益比率のとおり、企業債の償還が進んでいるため、支払能力に問題はないと分析する。今後も投資規模の適正化を図り、企業債の抑制に努める。⑤料金回収率については130.71%と前年度に比べ3.85%増加し、良好な経営状態が保たれているが、⑥給水原価については、依然として高水準のままである。これは、水道用水需給100%の団体であることや離島という地理的条件による経常費用が影響しているものと分析する。⑦施設利用率については、少子高齢社会による配水量(有収水量)の低下も考えられるが、認可策定時(昭和57年)の配水能力の設定が現状と乖離しているものと分析する。⑧有収率については、87.43%と前年度より3.33%低下している。主な原因が漏水であるため、適切な維持管理と漏水の早期発見に努め、有収率の維持回復に取り組みたい。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、企業会計の改定を受け、償却資産の償却方法が全部償却となったため、平成26年度より急激に増加した状態が続いている。②経年化率・③管路更新率は共に0%であるが、これは、昭和58年度の事業開始以来、法定耐用年数未経過ということで管路の更新を行っていないからである。主要な管は布設後約30年経過しているため、計画的な更新を検討する必要がある。引き続き、管路の劣化調査や漏水調査などを実施し、適切な更新を図っていく。
全体総括
1.経営の健全化・効率性について、①経常収支比率・②累積欠損金比率・③流動比率・④企業債残高対給水収益比率・⑤料金回収率において全国平均・類似団体平均値より概ね良好な数値を表している。今後も健全経営に努める。⑥給水原価・⑦施設利用率については、全国平均・類似団体平均値に比べて良い数値とは言えないため、改善に向けた取り組みを検討していく。⑧有収率については、減少傾向にあるため、効率的な運営に向けて、100%に近づけたい。2.老朽化の状況については、管路の法定対応年数が集中的に経過することが想定される。しかし、更新工事費用にも限りがあるため、②管路経年化率の上昇に合わせた③管路更新は実施できないが、耐震化等施設の更新状況を踏まえて計画的に管路の更新を実施していきたい。