有田川町：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

経常収支比率は100％を超え黒字であり、類似団体と比較すると毎年約20％程度高い数値となっているが、今後の施設更新を視野に入れ更なる経費削減に努める必要がある。流動比率は短期債務に対する支払い能力を表しているが、会計基準改正によって平成26年度から翌年度に支払う企業債償還金、賞与引当金を流動負債に新たに計上することとなり、類似団体とほぼ等しくなっている。企業債残高対給水収益比率は例年数値が下がってきており、類似団体と比較しても企業債が給水収益に占める割合は低い。料金回収率は100％を超え給水に係る費用が収益で賄えていることが分かり、類似団体と比較しても高い水準で推移している。給水原価は近年ほぼ横ばいで推移しているものの、平成27年度では類似団体と比較すると約40円程度低い数値となっている。施設利用率は配水能力に対する配水量の割合で、平成27年度は類似団体より若干上回っており、比較的施設を有効的に利用していることが分かるが、今後も需要変動を見越して適正規模の維持に努めなければならない。有収率は平成24年度において大幅に下がっているが、漏水調査等原因を追究し修繕したことによって改善し、翌年度以降には類似団体とほぼ同じような数値となっている。

老朽化の状況について

有形固定資産減価償却率は管路更新など償却資産の更新を毎年行っていることから近年ほぼ同じ数値で推移している。平成27年度の数値で見ると、近年の管路更新の影響もあり約40％と類似団体と比較すると若干下回っている。管路経年化率は耐用年数を経過した管路延長の割合であり、今後はさらなる更新が必要である。管路更新率は当該年度に更新した管路延長の割合を表しているが、公共下水道事業に伴う水道管の布設替えを行ったことが更新率を上げた大きな要因となっている。類似団体と比較すると、年度によって異なるものの数値は上回っている。

全体総括

現状では黒字が続いているが、人口減少および近年の節水傾向を踏まえた給水収益の減収や今後の施設更新に備えた資金確保のため更なる費用削減に取り組まなければならない。また、施設の効率的な稼働が給水収益に反映されることから、今後においても漏水等不具合を早期発見し有効的な運営を行う必要がある。法定耐用年数を近い将来迎えることを見据えた計画的な管路更新が必要となり、また、水道管以外にも有形固定資産のうち償却資産の更新や耐震化に備えて財源の確保が必要である。資金運用の面からも投資計画等により健全な経営を行っていくよう努めなければならない。