経営の健全性・効率性について
大島町の水道事業は、供給した配水量の効率性を示す⑧有収率は類似団体平均値を上回っていますが、施設の効率性を示す⑦施設利用率は季節変動が大きいために類似団体平均値を下回る水準で低下を続けており、施設の余剰感が大きくなっています。また、塩濃度の高い地下水を脱塩して給水しているため、水1m3を作る費用である⑥給水原価が類似団体平均値より高いが、費用を料金で賄っている割合を示す⑤料金回収率は、平成28年6月の料金改定により大幅に改善しました。一方で、①経常収支比率は類似団体平均値以下であるものの、平成28年度、平成29年度と100%を上回り、いわゆる「経常収支の黒字化」が達成され、経営赤字の蓄積である②累積欠損金比率が平成28年度より減少の傾向を示しました。しかしながら、累積欠損金の減少とともに、支払い能力を示す③流動比率は平成28年度に比べて改善したものの、類似団体平均値を大きく下回っている上、一般に安全とされる100%を切っていることから、支払い能力に課題が残っています。なお、債務残高水準を示す④企業債残高対給水収益比率も類似団体平均値より高い水準であることから、運転資金をこれ以上の企業債の借入れで賄うことは難しい状況になっています。このため、さらなる経営の健全化を目指し、平成29年度から経営戦略の策定に取り組んでいます。
老朽化の状況について
大島町の水道施設は、地方公営企業会計制度見直し後の平成29年度末時点で、有形固定資産の減価償却の進み具合を示す①有形固定資産減価償却率が類似団体平均値より高い約53%となっており、比較的減価償却が進んだ古い資産が多くなっています。また、水道管の更新度合いを示す③管路更新率は上昇の傾向にありましたが、平成29年度は減少に転じました。平成28年度の実績でも全ての管路を更新するのに約130年かかることになり、更新率を上げることが課題となっています。管路の経年化状況を示す②管路経年化率が類似団体平均値を超えて上昇を続けていることから、管路の老朽化が急速に進んでいることが分かります。このため、平成29年度から管路更新計画の策定に取り組んでいます。
全体総括
大島町の水道事業は、平成28年6月の料金改定により経常収支の黒字化が達成されたものの、多額の累積欠損金の残留と短期的な支払い能力の低下という厳しい経営状況にあります。その結果、近年は老朽管の更新を行っていますが、管路が老朽化するペースに追いついていません。この状況からの脱却が喫緊の課題となっています。