経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を超えており、料金回収率は100%を下回っている。このような状況にもかかわらず経常収支比率が100%を超えているのは、営業外収益である町・県からの高料金対策補助金と長期前受金戻入があるためである。給水収益の増収は、人口が減少する中で非常に厳しい状況となっている。また、費用についても経営改善を実施しているため、削れるものは無くなっており、減少に転じさせることは非常に難しい状況と思われる。累積欠損金比率について、平成25年度に多額の累積欠損金が発生しているが、東日本大震災により供給不能となった神宿浄水場の固定資産除却費(特別損失)によるものであり、経営の要因によるものではない。企業債残高対給水収益比率は、平成27年度から減少している。これは、平成26年度に災害復旧に係る浄水場移転復旧事業のための借入を実施して以降、費用削減のため直営工事等を推進し、借入を実施しない運営により企業債残高が減少しているためである。同時に、現金預金が増加していることから流動比率が微増している。施設利用率は、施設工事が完了した後、計画された住宅団地開発が戸数を大きく減らして販売されたため、現況では大きく改善することは出来ない。有収率は、東日本大震災の災害復旧により配水管の布設替えを実施しているため、また、配水量の監視体制を強化していることから、良い状況となっている。
老朽化の状況について
表流水系の浄水場は、東日本大震災により建て直したため施設は新しいが、地下水系の浄水場は建設後20年を経過しており、修繕により対応している。また、制御盤等については、部品供給停止などにより更新の必要が出てくるため、平成33年度頃から順次更新を進めていく。管路については、耐用年数を超えた石綿管が若干残っているが、平成30年度に廃止できる見込みである。10年後には大幅に増えていくため、計画的な更新が必要とされる。
全体総括
平成27年4月にオープンした道の駅発酵の里こうざきは、建物増設等の効果もあり水量が増加しているが、現在のところ、周辺への波及効果はない。主体となる生活用水は人口の減少、節水などにより有収水量は横ばいとなっている。震災により運転ができなくなっていた表流水系浄水場も同時期に運転再開をしており、水量の不足が生じることはなくなったが、表流水の浄水によって給水原価を押し上げる状況となっている。また、表流水系浄水場の運転には相応の技能が必要となるが、職員の退職などによる技術の継承が難しく大きな課題となっている。