経営の健全性・効率性について
①料金収入や一般会計からの繰入金等の総収益で、総費用に地方債償還金を加えた費用をどの程度賄えているかを表す収益的収支比率は、H26年度からH29年度までは、90%以上となっていたが、H30年度は法適用による打切決算の影響で、料金収入が減少し85%台となった。100%未満のため収支が赤字の状況である。今後、経営戦略を策定する中で支出の見直しや料金改定なども検討し、率の改善に努める。④料金収入に対する企業債残高の割合を表す企業債残高対事業規模比率は、類似団体を下回っているが、今後、大規模な施設改修等を実施すると一時的に比率が上昇する可能性がある。⑤⑥有収水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用を表す汚水処理原価は、類似団体を下回っている。使用料単価を汚水処理原価で除した経費回収率は、法適用による打切決算の影響で、料金収入が減少し79%台となった。類似団体を下回っており、100%未満となっている。今後、不明水対策の継続的な実施や、経営戦略を策定する中で、料金改定なども検討し、使用料収入の確保に努める。⑦施設・設備が一日に対応可能な処理能力に対する、一日平均処理水量の割合を表す施設利用率は、類似団体を下回っているが、処理される該当エリアの整備が完了していないため、整備が進捗すれば率は上昇する。⑧現在処理区域内人口のうち、実際に水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合を表す水洗化率は、類似団体を上回っている。今後も100%の実現を目指し、接続への普及活動を続けていく。q
老朽化の状況について
H30年度末現在、管渠総延長約507kmのうち、布設後50年を超える管渠は約30.2kmあり、今後、計画的な改築・更新が必要となる。③当該年度に更新した管渠延長の下水道布設延長に対する割合を表す管渠改善率は、H26年度は類似団体を上回っていたが、H27年度から平成30年度は、類似団体を下回っている。10年概成を見据え、未普及エリアの整備促進もあり限られた財源のなか、今後も、ストックマネジメント計画に基づき、老朽化した管路の更新に努めていく。
全体総括
収益的収支比率や経費回収率などから分析すると、使用料収入の不足分を一般会計からの基準外繰入金で賄っている状況である。今後は、更なる人口減少や節水による下水道使用料の減少、老朽化した管渠の改築・更新に係る事業費の増加等が見込まれる。これらに対応するため、下水道事業に地方公営企業法を適用し、収支・経営状況を明確にした後、収益の確保・適正化の具体的な取組内容を検討し、経営における収入確保(使用料改定等)と支出抑制(工事の優先順位の見直しや改築・更新規模の見直し)の基本計画として経営戦略を策定し、持続可能な下水道事業の運営を目指す。