経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」は103.10%から116.12%で推移し経常黒字となっている。しかし今後は給水人口の減少により、料金収入減が見込まれる。「流動比率」について、H30年度に元金償還のピークが終わったこと、新規借入の償還据置を行ったこと等により一時的に高くなっている。しかし、今後は管路更新事業債の償還により、元金償還額が増えるため下がる見込みである。「企業債残高対給水収益比率」は類似団体と比べて低くなっており現時点での経営の健全性は確保している。しかしH29年度からR6年度に管路更新事業を行うため、企業債残高が増えていき、給水人口の減少により給水収益が減少していくと考えられるため、料金改定等を検討する必要がある。「料金回収率」は過去5年の平均で約110%となっており、支出に対して適正な料金水準と考えられる。「給水原価」は類似団体より低くなっているが、今後は給水人口の減少による有収水量の減少が見込まれることから、「給水原価」の上昇が考えられる。「施設利用率」は類似団体と比較し高くなっている。しかし今後は給水量の減少が見込まれることから、施設の余剰能力が大きくなるものと思われる。「有収率」は類似団体より低くなっているが、H29年度より管路の漏水調査及び修繕を行い、有収率は徐々に高くなる見込みである。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は27年度に浄水場電気設備更新工事(第1期)、浄水場耐震補強工事、29年度に浄水場電気設備更新工事(第2期)を行っているが、浄水場の老朽化や、管路経年化率の上昇等により、依然として類似団体平均よりも高くなっている。「管路経年化率」はS50年代に布設した管路が多く、類似団体、全国平均より高い水準で、今後さらに数値が上昇する見込みである。「管路更新率」はH29年度からR6年度まで送水管布設替工事を行うため、管路更新率はR6年度までは同水準の更新率となる見込みである。
全体総括
経営の健全性については現在確保されているが、今後料金収入の減少が続き、更新時期を迎える資産の増加が見込まれることから料金の見直しを検討する必要があると考えられる。しかし料金は類似団体と比較してもすでに高い水準であり、コスト削減を進め、効率的に事業を行うとともに、広域化についても検討を行うべきと考えられる。管路の更新については、現在の送水管路更新事業から継続して、R7年度以降に配水管更新を行う必要がある。更新事業を進めるにあたり企業債借入が必要となるため、新たな財政計画を作成する必要がある。