経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」は123.52%から105.77%で推移し経常黒字となっている。「流動比率」について、公営企業法の改正に伴い、1年以内に支払う企業債元金を流動負債に計上したこと、高度処理施設整備事業の元金償還が始まったことによりH26年度以降は類似団体平均を下回っているが、今後元金償還額がH28年をピークに減少する見込であり改善が見込まれる。また、「企業債残高対給水収益比率」は類似団体平均の6割程度となっており、現時点での経営の健全性は確保されている。しかし今後給水人口の減少により、料金収入の減が見込まれ、「経常収支比率」は低下するものと考えられる。また、浄水場電気設備更新事業、送水管布設替事業の新規起債により「企業債残高対給水収益比率」は上昇する見込みであり、経営の厳しさは増していくと考えられる。「料金回収率」は過去5年の平均で約110%となっており、支出に対して適正な料金水準と考えられる。しかし、「給水原価」は類似団体平均、全国平均を上回っており他団体と比較し高くなっている。今後料金収入の減少が見込まれることから、「料金回収率」の低下と「給水原価」の上昇が進むと考えられる。「施設利用率」は類似団体と比較し28%高く、一日最大配水量に対して配水能力は11.5%の余裕を確保できており適正な施設規模となっているが、総配水量は減少しており、今後施設の余剰能力が大きくなるものと思われる。「有収率」は類似団体、全国平均より低くなっており対策を急ぐ必要がある。
老朽化の状況について
「管路経年化率」はS50年代に布設した管路が多く、類似団体、全国平均より高い水準で、今後さらに数値が上昇する見込みである。「有形固定資産原価償却率」は11%程度類似団体平均、全国平均より高く施設全体の老朽化が進んでいる。浄水場電気設備更新事業、送水管布設替事業により一時的に数値の改善が見込まれるが、長期的には数値が上昇する傾向にあると思われる。「管路更新率」については、高度浄水処理施設の整備をはじめ、浄水施設を優先的に整備したため、管路更新は進んでいない状況である。法定耐用年数の40年サイクルで更新するには年間で全体の2.5%、1.2km以上、60年サイクルでは1.67%、0.8km以上更新する必要がある。また、基幹管路である送水管の一部に耐久性に劣る石綿管が残っていることから対策が急務となっている。
全体総括
経営の健全性については現在確保されているが、今後料金収入の減少が続き、更新時期を迎える資産の増加が見込まれることから長期的には料金の見直しを検討する必要があると考えられる。しかし、料金は類似団体と比較しても高い水準であり、いっそうのコスト削減をすすめ、効率的に事業を行うとともに広域化についても検討を行うべきと考えられる。施設の老朽化が急速に進行しており、特に管路の布設替を進める必要がある。近年は高度浄水処理施設の整備をはじめ、浄水施設の整備を優先し、管路の更新が進んでいない現状がある。給水人口の減少を見据え、適切な施設規模での更新を図り、新規起債額を抑制することにつとめ、更新計画・耐震化計画を策定し、計画的に管路の整備を進める必要がある。