経営の健全性・効率性について
平成30年度は経常収支比率が前年度から4.3%減少し、102.43%となりました。前年度と比較して費用がほぼ同額となった一方、収益が減少したことによるものです。収益のうち営業収益は給水収益の減少により微減となり、営業外収益も繰出金基準に基づく高料金対策補助金の大幅な減額により減少し、収益全体では1.5%の減額となりました。費用は、固定資産除却費や企業債利息が減少した一方、配水管の修繕箇所の増加により修繕費が大きく増加しました。また減価償却費も増加しております。流動比率は、健全な状況を保っています。企業債残高対給水収益比率の上昇は、収益が減少傾向にあることと起債残高が上昇していることの二つの要因を持っています。将来へ負担を先送りしないように適正な水準を見極め、起債借入の抑制や繰上げ償還を検討していく必要があります。給水原価は、前年度より4.7%増となりました。今後も年間有収水量は減少していく見込みのため、給水原価は増加推移していく見通しですが、上昇幅を最小限に抑えるため、より費用抑制に努める必要があります。料金回収率は、給水原価の増加に伴い減少推移が続いているため、適切な滞納管理により料金収入の向上を図る必要があります。また、基準外の繰入金についても減額を検討していきます。施設利用率は、類似団体と比較し低い数値となっておりますが、営農用の新規利用で配水量が増加する見込みもあるなど、スペックダウンやダウンサイジングについては慎重に検討を進めていく必要があります。有収率は類似団体平均と比較して高い水準となっています。引き続き維持できるよう、施設の適切な維持管理に努めてまいります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は上昇傾向にありますが、平均値と比較しても数値が小さいことから、現有資産の多くは耐用年数を多く残している資産と判断できます。これは管路経年化率からも同様の傾向がみられるため、管路の老朽化は低い状況にあるといえます。現在の管渠更新は、市街地区の石綿セメント管の取替に重点を置き、中長期的な計画のもと実施しています。耐震性に難点があり、老朽化の著しい市街地区の石綿セメント管を更新していくことで、水道水の安定供給を目指しています。
全体総括
平成28年度に経営戦略を策定し、水道事業の経営方針を定め、事業環境の現状や将来予測を踏まえた投資・財政の計画〈収支計画〉を立てておりますが、その計画では今後7年間は黒字の見込みです。平成30年度の経営状況は、収益の減少により各指標の数値が微減しております。今後も料金収入は減少推移が見込まれるため、適切な滞納管理による料金収入の確保と、費用増加の抑制がより重要になります。経営戦略の検証、更新を確実に実践し、安定した事業運営に努めます。また、水道広域化推進プラン策定に関する検討会等の動向も注視しながら、近隣市町村との情報共有や、連携して取り組めるものがないかの検討をしていくことも必要であると考えています。