経営の健全性・効率性について
平成28年度は経常収支比率が106%となりましたが、これは収益が増加したわけではなく、費用の抑制〈職員の異動に伴う人件費の減)によるものです。費用抑制の効果により、料金回収率や給水原価が改善しています。流動比率は健全な状況を保っています。企業債残高対給水収益比率の上昇は、収益が減少傾向にあることと起債残高が上昇していることの二つの要因を持っています。将来へ負担を先送りしないように適正な水準を見極め、起債借入の抑制や繰上げ償還を検討していく必要があります。施設利用率は類似団体と比較し低い数値となっておりますが、営農用の新規利用で配水量が増加する見込みもあるなど、スペックダウンやダウンサイジングについては慎重に検討を進めていく必要があります。有収率は類似団体平均と比較して高い水準となっています。引き続き維持できるよう、施設の適切な維持管理に努めてまいります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は上昇傾向にありますが、平均値と比較しても数値が小さいことから現有資産の多くは耐用年数を多く残している資産と判断できます。これは管路経年化率からも同様の傾向がみられるため、管路の老朽化は低い状況にあるといえます。現在の管渠更新は、市街地区の石綿セメント管の取替に重点を置いています。耐震性に難点があり、老朽化の著しい市街地区の石綿セメント管を更新していくことで、水道水の安定供給を目指しています。
全体総括
平成28年度に経営戦略を策定しました。経営戦略では、水道事業の経営方針を定め、事業環境の現状や将来予測を踏まえた投資・財政の計画〈収支計画〉を立てており、収支計画では今後10年間は黒字の見込みです。また、水道料金改定に向けた審議会を開催しました。収支計画が黒字の見込みであったことから、黒字を維持できる範囲を原資として、用途別料金体系の料金格差を是正しました。平成28年度の経営状況は、費用の抑制により各指標の数値が改善していますが、依然として料金収入が増加する見込みは薄いため、厳しい経営環境となっています。経営戦略を確実に実践し、検証と改善を繰り返すことで今後も安定した事業運営に努めていく必要があると考えています。