名寄市：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

経常収支比率については、H24・25は100％を下回り単年度収支が赤字となっており、H26からは地方公営企業会計制度の見直しにより改善しているが低下傾向にある。要因として、収益では給水収益の減少、費用では人員削減により職員給与費は減少したものの、減価償却費の増加が主な要因である。今後も引き続き費用の削減に努めるとともに、減少傾向が続く収益の増加策を図ることが必要である。企業債残高対給水収益比率については、類似団体平均値を大きく上回っており、給水収益に対し、建設改良費多く、財源として企業債の占める割合が高い事から、事業の見直しや企業債充当率の検討が必要である。料金回収率については100％を下回っており、給水収益単独では給水に必要な原価を回収できず、十分な採算性を確保していないことを示しており、今後給水収益の増加が見込めない状況にあることから、適正な料金水準の検討が必要である。有収率については、H25を除き84％前後を推移していることから、引き続き漏水調査や老朽管更新の漏水対策を進める必要がある。また、多くの指標でH26以降大幅に悪化・改善しているように見えるが、これは地方公営企業会計性制度の見直しによる影響であり、経営の実態が変化したものではない。

老朽化の状況について

管路については、平成21年度以降老朽管更新を優先し事業を進め、年間約3,000m整備していますが、今後も年間約4,800m増加するため、現在の整備ペースでは更新が追い付いていないのが現状である。老朽管が起因する漏水も多く発生しており、有収率向上のためにも、道路改良工事と並行して整備を進める等、コスト縮減を図りながら整備を進めていく必要がある。（管路更新率は前年と比較し大幅に減少しているが、算出基礎を管路増減延長としているものであるため、更新した管路延長とした場合0.93％となり前年比１％減にとどまる。）浄水場施設については、創設後40年経過している施設の更新や耐用年数を超えた機器も多いことから、浄水場機能を維持するための計画的な機器・設備更新を進めていく必要がある。

全体総括

給水人口の減少や節水機器の普及などにより、給水収益の増加は見込めなく、水道施設や水道管が更新の時代を迎え、安心・安全な水道水を供給していくためには一定規模の投資が必要である。使用水量の減少傾向や、経費の削減、施設老朽化更新の先送りも限界に近いことなどから、適正な料金水準となるよう、料金の見直しを含め検討を進めている。