経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%を超過しているが、類似団体と比較して0.92ポイント下回っている。状況としては、経常収益のうち、営業外収益の大部分は長期前受金戻入益であり、営業収益の給水収益は年々減少している。②累積欠損金は発生していない。③流動化率は、100%を上回っているが、流動資産は年々減少している。④企業債残高対給水収益比率は、類似団体の平均値と比して髙くなっている。要因としては、有収水量の減少によるものである。⑤料金回収率は、100%を超過しているが、給水収益が下降している中、更なる費用削減や更新投資などの財源確保を図るため料金の改定を検討する必要がある。⑥給水原価は、類似団体の平均値と比して低くなっている。地下水を水源としていることなどが要因である。⑦施設利用率は、類似団体と比しても同程度ではあるが、今後も有収水量の減少、人口の減少は進行することが考えられ、現在稼動施設の老朽化の状況を踏まえ、更新におけるダウンサイジングなどの検討を行う必要がある。⑧有収率は、類似団体と比して非常に低い状況となっている。人口減少などを主要因とした水量が減少するなか、管路などの老朽化による漏水が原因と考えられる。経常収支比率の更なる改善を図るには、経常費用のより一層の節減と併せ、水道料金の値上げなど給水収益の増収を行う必要がある。
老朽化の状況について
昭和40年に水道事業を開始して以降、整備された水道施設が更新時期を迎えている。特に昭和50年代に拡張した簡易水道事業として開始した区域の水道施設の老朽化が著しい状況となっている。施設の更新について配水池などのダウンサイジングの検討を行っているが、前提条件として老朽化した管路の布設替えや増径を行わなければならない。また、基幹管路の耐震性を図る必要がある。
全体総括
給水収益が減少している原因として、有収水量の下降がある。人口の自然及び社会減によるほか、高齢化や節水器具の普及と意識の向上がその原因と考えられる。今後も水需要の上昇は期待できず、給水収益の減収は続くものと考えられる。一方、ライフラインとして安心・安全かつ安定的な水道の供給が期待とともに求められている。今後も水道事業の経営改善と併せ、安定的かつ継続的な事業運営を計るため、見送られてきた水道施設の正確な状況把握と将来を見据えた更新・投資計画、料金体系や事業運営形態などを検討し、町の「水道」に関する方策としての「市川三郷町水道ビジョン」を早急に策定していく必要があると考える。