経営の健全性・効率性について
本町の水道事業は、平成元年3月31日に旧種市町の5つの簡易水道事業を統合し上水道事業として経営してきた。更に平成29年4月からは、内陸部の簡易水道事業を廃止して、上水道事業に統合し、一体的な事業運営を行うこととしている。町の給水区域では、人口密度が低いことに加え、自己水源により日常の水を確保している町民があるなど、膨大な管路延長を整備したところであるが給水管の接続割合が高いとはいえない状況がある。この結果、減価償却費や企業債利子償還金について、限られた有収水量に割り振られることになり、給水原価を引き上げる結果となり高資本状態になり給水原価が類似団体と比較して高額となっている。また、このような状況に対し、水道事業経営に不足する費用については、一般会計から高料金対策費補助金の交付を受けており、その財源の一部に国からの地方交付税が充てられている。総配水量に占める有収水量の割合を示す有収率においては、地表に現れない管路の破損等により漏水した水量が多いと見込まれ、平均値を下回る状況となっている。この対策として平成26年度から専門業者に漏水調査業務を委託し管路の修繕に取り組んできたところ、平成28年度には、76.35%まで改善した。
老朽化の状況について
本町の水道施設の多くは、平成元年から平成22年度にかけて管路の更新を済ませており、管路経年化率は、平均値と比較して低い。しかし、町内の水道施設のなかには、建設後55年が経過している浄水場があるほか、機械設備等は、耐用年数が短く、既に耐用年数が経過した機器の割合が高くなっており、長寿命化対策や更新投資の進め方が課題となっている。なお、本比較分析表に反映されていない平成27年度の「管路経年化の状況」の当該数値は、「5.74」である。
全体総括
本町の水道施設の整備にあたっては、人口密度が低く、分散して集落が形成されていることから多くの管路延長を整備し、その費用が高額であったため、高額な減価償却費の計上や企業債償還金が必要になっており給水原価を引き上げている。このような要因から、他の自治体の平均値と比べて給水原価が高額であるため料金回収率が低い値となっている。一方、平成22年度までに多くの水道施設の更新を終えていることから管路の老朽化の度合いは、平均値と比較して低い値となっている。今後においては、人口減少による給水収益の減少に備えて、経営資源の長寿命化や施設及び経営のダウンサイジングなどの取り組みを行い、持続可能な水道事業を構築していかなければならない。