南さつま市：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

平成26年度から過去５年、欠損金は出しておらず、給水収益の減少により減少傾向ではあるものの経常収支比率も100％を超え、経営状況としては黒字の状態を維持している。平成26年度の会計制度の改正により、流動比率が急激に低下しているが、類似団体を大きく上回っており、適正な状況であると考えている。給水原価については、ここ数年増加傾向にあるものの、他団体と比べれば低く、適正なものと考える。料金回収率が100％を超えているため、給水にかかる費用が水道料金の収入で賄われていると言える。平成28年度から、南さつま市全体の水道料金が統一され、水道事業としては収益増を見込んでいるものの、事業認可から40年以上が経過し、耐用年数を超えた配水管等の施設・設備が多く、更なる費用削減や管路更新等の財源確保が必要である。給水収益に対する企業債残高の割合は、他団体と比較すると高くなっている。これは、平成５年に開設した水道事業が建設費の財源のほとんどを企業債に依存したことに起因しており、今後の経営に悪影響を及ぼすものと懸念している。さらに、平成26年度の比率上昇は、企業債残高の減少率より、給水収益の減少率が上回ったことが原因であり、比率減少に向けた努力が必要である。施設利用率と有収率については、類似団体と比べれば高いものの、平成26年度全国平均には届いていない。南さつま市においては、人口減少や大量の水を使用する工場等の減少により、年々使用水量及び水道料金収入も減少している。今後、施設の更新・管理を行っていく中で、給水地区ごとの人口に対応した施設の適正化をはかることが施設利用率等の向上につながると考える。

老朽化の状況について

有形固定資産減価償却率は、類似団体及び全国平均の数値とほぼ同じように推移している。数値が100％に近いほど、保有資産が法定耐用年数に近づいていることを示すものであり、法定耐用年数を超えた管路延長を表す管路経年化率も減少傾向ではあるものの、全延長の1割以上が老朽化していることもあり、資産全体として耐用年数が迫ってきているものが多いと推察できる。これに対応して、年度ごとに更新した管路延長の割合を示す管路更新率は類似団体平均値よりも高く推移しているが、管路経年化率が他の類似団体より高いため、管路更新ペースを上げることや、そのための財源確保が喫緊の課題である。

全体総括

経営状況としては毎年収支が黒字となっているが、施設や管路の老朽化が進んでおり、管路更新等の設備投資・費用は今後増加していくと推察できる。安定的な水の供給と投資の効率的な運用を鑑みれば、管路更新の先送りや単純な費用削減ではなく、老朽化した管路や更新の必要性の高い施設等を精査し、長期的な投資計画を作成する必要がある。平成28年度から南さつま市の水道料金は統一されることとなったが、今後も適正な水道料金を定期に検討するとともに、今後の人口減少や更新経費に対応するため、できるだけ早く水道事業の経営戦略を策定し、経営基盤の強化を図る必要がある。