経営の状況について
・収益的収支比率及び営業収支比率は100%を超えているが、北杜サイト太陽光発電の実証研究開始から15年目を迎え、天候及び機器の劣化において発電量は減少している。また、機器設備等の更新を行う更新投資や太陽光発電ガイドラインに示されている撤去処分費用に充てる財源も確保する必要がある。・令和2年11月からマイクロ水力発電も系統連系したが、試運転調整中であったため当初計画の発電量を達成することができなかった。機器設備等の更新を行う更新投資や水力発電ガイドラインに示されている撤去処分費用に充てる財源も確保する必要がある。・供給原価においてはマイクロ水力発電に対する付帯工事を実施したため費用増加により、前年度より上昇し全国平均を上回っている。・EBITDA(原価償却前営業利益)については、全国平均を下回り収益性は低下している。費用増加の要因は一般会計へ繰出している事業経費も大きいためであり、太陽光発電事業においては発電設備の経年劣化は見受けられるが運転状況は良好と考えられる。
経営のリスクについて
・設備利用率は全国平均より低く稼働している状況である。日照時間に恵まれている本市でも太陽光発電は天候に大きく左右され、設備の経年劣化により年間発電量は年々低下している。マイクロ水力発電においても水道水の利用状況によって発電量が増減するので、今後の発電状況を確認しながら効率よく発電できるように取り組む。・企業債残高料金収入率0%について、太陽光発電設備はNEDO実証研究を経て無償譲渡されたため企業債を活用していない。また、マイクロ水力発電設備は基金を活用したため補助金及び企業債は活用していない。・FIT適用終了(R10.4.30)後の事業のあり方については、現時点で方針は定まっていないが、経営戦略においてFIT終了による電力収入の変動リスク踏まえて検討している。・修繕費比率が減少しているのは、令和元年度より展望台法面の防草シート修繕等を行ってきており、令和2年度においては修繕面積が小さかったためである。また、北杜サイト太陽光発電所は開始から15年目を迎え、設備機器の更新計画により機器更新を実施しているが、設備機器以外の修繕にも取り組んで行く。マイクロ水力発電所は、設置して年数が経過していないことと試運転中であったため修繕は行っていない。
全体総括
現状分析の結果を見ると、本市の電気事業は地域特性を活かしFIT適用による再生可能エネルギーの太陽光発電については収益性が高く、経営状況は良好と判断される。なお、NEDO実証研究を経て譲渡された北杜サイト太陽光発電所は開始から15年目を迎え、設備機器の更新計画により機器更新を実施している。計画的に実施することにより、経年劣化による突発的な故障を未然に防ぎ、安定的な発電を目指すとともに、保守費・修繕費等の軽減に努め、長期の使用を図る必要がある。また、R2年度に公表した経営戦略のなかで、FIT適用終了及び料金契約終了(R10.4.30)による電力料収入の変動リスクも踏まえて検討することとしている。施設の目的である地球温暖化問題への理解促進を図るため、視察、見学者の受け入れや、研究フィールドとしての利活用も行い、PVモジュールの実環境における特性比較及び傾向分析、その他必要な調査・研究・維持管理について継続して行う。小水力発電については収益性が低い状況であるが、今後の発電状況を確認しながら効率よく発電できるように取り組む。