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平成28年度の財政力指数は3か年平均で1.009、単年度では1.045となり、単年度数値が1を上回ったため、平成21年度以来7年ぶりに普通交付税不交付団体となった。国勢調査人口の減や単位費用の減による包括算定経費(人口)の減や、償還が進んだことによる公害防止事業債償還金の減を反映し基準財政需要額が減となった一方で、増税に伴い地方への配分割合の増えた地方消費税交付金の増、新築物件の増等に伴う固定資産税の増により基準財政収入額も増となったため、基準財政収入額が基準財政需要額を上回る結果となった。類似団体平均より高い値になっているのは、市民の所得水準が高いこと等の理由により類似団体を上回る税収があることが主な要因である。しかし、東京都内の他の区市との均衡等もあり、求められるサービス水準は高く、財政力指数に反して財政は逼迫している。
経常収支比率は92.7%と昨年度より2.4ポイント悪化した。悪化した理由は、分母である歳入面では、地方税の市民税の増や固定資産税の増はあったものの、地方消費税交付金が税率改定に伴って増となった平成27年度の反動により減となり、加えて普通交付税不交付団体になってことで地方交付税も減となったことから全体では減となった。分子である歳出面では、削減効果の大きな事業見直し等はなく、前年度の起債額増に伴う公債費の増、扶助費の増等により歳出全体で増となったため、分母の減及び分子の増となった結果、経常収支比率は悪化する結果となった。類似団体平均はわずかに下回ってはいるが、依然として財政の硬直化した状態が続いていることから、財政健全化に向けた取り組みを着実に実施し経常経費の削減を図る必要がある。
平成28年度は、全国平均、東京都平均ともに下回る114,370円となったが、類似団体平均を上回る結果となった。数値自体はほぼ横ばいで、ここ数年類似団体平均は下回っていたが、平成28年度から国立市の属する類似団体区分が変わったことにより平均を上回ることになった。個別に見た場合、人口1人当たり物件費及び維持補修費は類似団体平均とほぼ同じか下回るのに対し、人件費は類似団体平均を上回っている。その他非常勤職員について、当市では嘱託員がこれにあたるが、類似団体平均に対して+198.2%と非常に高い水準にある。この間、正規職員の定員管理には努めてきたが、非常勤職員の管理についても早急に検討・改善を図っていく必要がある。
ラスパイレス指数が100を超えているが、平成24年度より東京都の給料表に移行し、これまでも東京都人事委員会勧告に基づき、給与水準の見直しを実施している。ただし、都表移行時に激変緩和措置として現給保障を実施したことや比較的若い職員の管理職登用等により、ラスパイレス指数が高くなる傾向にあるが、将来的には職員構成の変更により改善していくものと見込んでいる。
毎年度見直しを行っている定員管理計画に基づいて職員数を管理してきた結果、類似団体平均、東京都平均を下回る結果となっているが、ここ数年間は新規事業等に対応するために毎年職員数を増やしていることから、微増となっている。行政需要の増減に対応した柔軟な定員管理計画により、引き続き適正な水準を維持していく。
単年度では、分母である標準税収入額等について地方消費税率改定に伴う増及び固定資産税の増等により、全体として増となった。分子については元利償還金の額が平成27年度の土地の買戻し等に伴う起債の償還が始まったことによる大幅な増となった。実際の比率の算定にあたっては3ヵ年平均を算出するため、比率は増減なしとなった。また、国立駅周辺のまちづくりが今後本格化してくることや、老朽化した公共施設の耐震化や建て替えなど、今後も多額の財政需要が見込まれている。適切に管理することを通じて、指数がこれ以上悪化しないようにしていく。
平成28年度は、前年度に引き続き0%となった。前年度に比べ地方債残高の減少などがあり将来負担額の減少があったものの、充当可能財源のうち都市計画税収や基準財政需要額算入見込額が大きく減少したことにより、算定上の比率(マイナス値)は若干悪化傾向にある。数値だけを見ると類似団体平均より低い水準にあるが、今後も将来負担比率を算定する際の項目ごとに債務残高を適切に管理し、後世への負担を少しでも軽減するよう新規事業の実施等についても精査を行い、財政の健全化を図っていく。
比率は昨年度に比べ0.5ポイント上がり、類似団体平均との差は小さくなったが依然として類似団体平均・全国平均・都平均を上回る水準となっている。平成28年度は、退職者の増に伴う退職手当の増や、都人事委員会勧告に基づく支給率の改定に伴う期末勤勉手当の増などにより、人件費が昨年に比べ増加したことが主な要因である。また、標準財政規模に対する人件費の比率の比較において、類似団体と比べてその他非常勤職員の報酬が占める割合が高く、この部分に対しての対処が喫緊の課題となっている。
平成28年度は、前年度に比べて1.0ポイント高い17.0%となり、依然として類似団体平均よりも高い比率となっている。寄附システム包括支援業務委託、証明書コンビニ交付システム構築委託など主に新規に実施した委託事業の経費が増加したため物件費全体でも増となったが、経常的経費ではごみ収集委託料などが増となったため、比率が高くなった。また、ITシステムの導入増に伴い委託料に加えてシステム機器の賃借料も増加傾向にあるため、庁内調達するシステムの費用対効果について適正に内部評価を行う仕組みを構築したが、引き続き経費削減に努める必要がある。
類似団体平均と比べると、社会福祉費が著しく高く、老人福祉費・児童福祉費も高い位置にある。特に障害者自立支援費や生活保護費が高い伸び率を示している。サービス水準の他市との均衡や子育て支援の社会的要請があり、今後も増加が見込まれる経費ではあるが、施策の成果向上を目指しつつ、経費を抑制していく必要がある。
特別会計に対する繰出金が、類似団体平均よりも高い値となっている要因のひとつである。国民健康保険特別会計は税率改定による税収増及び被保険者減により、一般会計からの繰出金で補てんする赤字繰出額が大きく減少した。また、過去の集中的な下水道整備に伴う下水道事業特別会計への公債費分の繰出金が大きく、ピークは越えたものの今後も高い水準での推移が見込まれている。資本費平準化債の活用により、繰出金の抑制を図っているが、独立採算の原則からも、使用料の適正化を図り税収を主な財源とする一般財源の負担を減らしていかなければならない。
国立市は消防事務を東京都に委託しているため、その委託金が類似団体平均に比べ数値が高止まりしている要因の一つである。経常的な歳出である多摩川衛生組合負担金や国立駅北口自転車駐車利用負担金の減などにより、昨年度より0.6ポイント低くなった。補助金に関しては、今後もそのあり方を常に問い直していく必要がある。
平成28年度は普通交付税不交付団体となったため、臨時財政対策債の発行が不可能となり、また過去の市債の元利償還が進んだが、平成27年度に借入れた国立駅南口複合公共施設用地取得事業債の償還が始まったため、公債費は9.8%と前年度に比べて0.9ポイント上昇したが、類似団体平均を下回る値となっている。今後も適正な地方債残高の管理及び赤字地方債の発行に頼らない財政を目指さなくてはならない。
公債費以外の経常収支比率は82.9%と類似団体平均に比べ高止まりをしている。公債費の占める割合自体が低いこともあるが、類似団体と比較する中で見えてくる国立市の特徴として、扶助費と繰出金に係る経常収支比率が高いことが挙げられる。扶助費の中でも社会福祉費が特に高い水準にあり、障害者福祉に係る経費が主な内容である。また繰出金については、下水道事業特別会計への公債費にかかる繰出金の高止まりや国民健康保険特別会計への赤字繰出しが主な要因となっている。
将来負担比率は国立市土地開発公社からの土地の買い戻しを行ったことによる債務負担行為の減少、下水道事業特別会計における地方債残高の減少が大きく影響している。数値だけを見ると類似団体平均より低い水準にあるが、今後も将来負担比率を算定する際の各項目ごとに債務残高を適切に管理し、後世への負担を少しでも軽減するよう新規事業の実施等についても精査を行い、財政の健全化を図っていく。実質公債費比率は平成27年度の実質公債費比率は下水道事業特別会計において資本費平準化債を借入したことで一般会計からの繰出金が減少したことや、多摩川衛生組合のクリーンセンター多摩川建設時の起債の償還が平成24年度に完了したこと、その他の一部事務組合の起債の償還も進んだことから準元利償還金が減少した点が影響している。また、国立駅周辺のまちづくりが今後本格化してくることや、老朽化した公共施設の耐震化や建て替えなど、今後も多額の財政需要が見込まれている。適切に管理することを通じて、指数がこれ以上悪化しないようにしていく。
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