二戸市：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

経常収支比率は100パーセント以上となっているものの、一般会計からの繰入金によって黒字になっている状況です。未収金の回収や経費削減にさらに取り組む必要があります。累積欠損金はありませんが、節水意識の高まり等料金収入の増を見込むことが難しく、また、料金収入自体も減少傾向にあります。今後も効率的な資金運用を行うなどし、経営基盤の強化に努める必要があります。流動比率は25年度に比べて大幅に減少しましたが、新会計基準の適用により、26年度に償還する企業債を流動負債に計上したことによるものです。企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均及び全国平均を大きく上回っています。二戸市浄水場の建設等大規模事業に係る企業債償還のピークが過ぎるまでは高い水準で推移すると思われます。料金回収率は類似団体平均及び全国平均と10パーセント以上の差があり、負担の公平性の観点からも、より一層回収率の向上に取り組む必要があります。給水原価については、前年度と比べて若干減少したものの、類似団体平均及び全国平均と比べるとおよそ２倍となっています。企業債利息と減価償却費が費用全体に占める割合が約６割となっているためです。また、簡易水道事業特別会計から受託している簡易水道施設の運転業務等に係る経費も給水原価が割高になる一因となっています。ピークを迎えた企業債償還に係る利息の支払が続くことから、今後も同程度の水準で推移していくものと考えられます。施設利用率は類似団体平均及び全国平均を上回っており、今後も水準の維持に努めます。有収率については、22年度から6.8パーセントの減少と大きく落ち込んでいます。類似団体平均及び全国平均と比べてもかなり低い値となっています。原因としては、配水管からの漏水が大きいと考えられ、27年度において市内全域で漏水調査を実施し、順次修理を行ったところです。今後も随時漏水調査を行うとともに、老朽管を計画的に更新し漏水対策を進めます。

老朽化の状況について

有形固定資産減価償却率と管路経年化率は、類似団体平均及び全国平均を下回っており、また、管路更新率は上回っています。管路経年化率は年々上昇傾向にあることから、老朽管の計画的な更新を進めます。

全体総括

施設利用率と有収率を見ると、施設利用率が高いのに対し、有収率が低く、収益につながっていないと推測されるため、引き続き漏水対策に取り組みます。施設及び機械設備は、日常点検での不具合の早期発見に努め、突発的な故障による修繕費、工事費の支出を抑制するとともに、老朽化が進む施設や老朽管の計画的な更新を行います。今後10年ほどは企業債償還のピークが続くほか、料金収入の減少が見込まれるため、適切な料金と改定の時機等料金見直しの検討を行い、料金収入の確保や経常経費の削減、水道法に基づく第三者委託の継続等効率的な事業運営と経営基盤の強化に努めることが必要です。