経営の健全性・効率性について
経営の健全性については、「経常収支比率」は100%を超えており、累積欠損金は生じていない。しかし、「流動比率」が100%を下回っており、1年以内に支払わなければいけない負債を賄えておらず、資金繰りが厳しい状況なので、支払能力を高めるための経営基盤強化に努めていく必要がある。(要因)主な流動資産である現金預金が少なく、また企業債償還金が多額であるため。(今後の対策)・費用対効果を十分に考慮したうえでの下水道面整備を行い地方債計画を盛り込んだ整備計画を策定する。・使用料収入の基である「水洗化率」が89.07%と類似団体に比べ高いとは言えないため、未水洗化世帯への水洗化の促進、啓発を継続的に行うことで有収水量の確保に努める。また、「経費回収率」は前年度と比較して減少し、「汚水処理原価」は前年度と比較して増加しているが、これは、分流式下水道等に要する経費に係る一般会計繰出金基準額について、適正化を行ったことによるものである。効率性については、「施設利用率」が類似団体に比べて高いとは言えないため、引き続き有明海流域別下水道整備総合計画に基づき有明海の水質保全に努めながら、処理場の非効率性の有無を確認していく。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は類似団体と比べると低い数値だが、これは平成26年度に企業会計へ移行した際に、移行前に取得した資産について、減価償却残額を取得価額として取り扱ったためである。今後年数が経つごとに積みあがっていくと思われる。(下水道管渠)昭和40年代に布設した陶管については更新を行っているが、残る管渠は耐用年数は経過していないものの、老朽化が進んでいるものがある。(汚水処理施設・雨水ポンプ場施設)機械・電気設備において、耐用年数を経過したものがある。(今後の対応)施設全体の健全度や重要度を考慮した効果的な点検・調査を実施し、予防保全的な維持修繕・改築など計画的かつ効率的な施設管理を行う必要がある。
全体総括
当市の下水道事業は建設から維持管理の時代へ移行し、多くの施設で更新の時期を控えている。そして、人口の減少等により処理区域拡大中でも、下水道使用料収入は微増程度となっていることから、今後も限られた財源の中で、計画的で効率的な事業運営、施設の更新が求められる。(今後の取組)財務諸表の分析を進め、適切な管理による下水道サービスの維持、ライフサイクルコストの最小化、さらには、予算の平準化を目的とした経営戦略を平成30年度までに策定する。また、平成31年度にかけてストックマネジメント計画の策定も行う。