経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は56.56%と低く、料金収入等の収益で地方債償還金などの費用を賄えていない。原因としては、使用料単価が非常に低いことにより料金収入が少なく、資本費の回収にはわずかしか至ってないことから一般会計からの繰入金に依存していることが挙げられる。前年度対比で8.9%改善しているものの、さらなる経営改善に向けた取り組みが必要である。料金収入に対する企業債残高の割合では類似団体の全国平均と比べ約4倍であり、割合が高くなっている。これは使用料単価の低さが主な要因である。経費回収率では、全国平均の半分以下の46.94%となっている。使用料で回収すべき経費を賄えていない状況であり、回収率100%に近づけるよう適正な使用料収入の確保及び汚水処理費の削減が必要である。汚水処理に係る費用では、全国平均よりも低い金額となっている。施設の処理能力に対する処理水量の割合、処理区域内での水洗化を行っている人口の割合は、全国平均より高い数値となっている。これらを更に向上させるため、施設が十分に機能を発揮できるよう努めるとともに水洗化率の向上、経費の削減にも取り組む必要がある。
老朽化の状況について
管渠の耐用年数が50年であるが、建設開始から40年経過している管渠もあり、今後においては緊急を要する修繕等が発生する可能性がある。それを回避するためにH29年度には長寿命化対策として管渠の調査及び点検や西条浄化センターの主ポンプ設備の改築工事を行い、H30年度はストックマネジメントとして西条浄化センターの脱水機設備及び最初沈殿池の改築工事、マンホールポンプの改築工事を行っている。管渠の更新については、長寿命化計画により実施しているが、将来的には耐用年数に達することから、改築・更新時期を迎える管渠が増加すること等が考えられるため、設備の回復・予防保全のための修繕や事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要がある。
全体総括
収益的収支比率や経費回収率の改善に向け、収入の増加と維持管理費などの経費の節減努力を継続して行う。使用料についてはH31年度4月利用分より西条処理区の単価を約11%値上げする。合わせて徴収率の向上や水洗化率の向上に努めるとともに、投資の平準化による借入額の抑制を行い一般会計繰入金の減少にも努める。老朽化対策については、長寿命化対策に取り組む。整備や管理に係る費用についても、費用対効果を検証しながら、平準化を図りつつ計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要がある。安定した収入の確保と投資の効率化や維持管理費の削減、接続率の向上による有収水量を増加させる取組などを行い経営改善に努めていく。