経営の健全性・効率性について
経営改善に向けた施設維持管理に係る汚水処理費の抑制に努めた結果、汚水処理原価は昨年と比べて減少し経費回収率が上がったものの、今後の更新投資等に充てる財源は確保されておらず、回収率は平成29年度全国平均と比べても劣位である。収益的収支比率については平成30年度からの公営企業法適用のため3月打切り決算となったことから、使用料収入が減収し前年度を下回ることとなった。企業債残高対事業規模比率についても使用料収入の減収により増加に転じており、依然、経営費用における企業債償還金の割合も高い。今後は更新投資等に充てる財源確保も図りつつ、更にもう一段の費用抑制も視野に入れる必要がある。
老朽化の状況について
公共下水道は昭和56年度に供用開始をして30年以上が経過し、下水処理場や汚水管渠は老朽化が進んでいる。平成21年度には下水道施設に係る長寿命化計画を策定し、処理場、ポンプ場の耐震化や施設の更新等の整備を順次行っているところである。なお、平成32年度からは長寿命化計画を引き継ぐストックマネジメント計画にて整備を進めていく計画である。
全体総括
兵庫県の「生活排水99%大作戦」事業により水洗化を積極的に促進してきたが、近年の人口減少により平成29年度では水洗化率は微減し99%を僅かに割っている。しかしながら、全国平均や類似団体平均値と比して、公共用水域の水質保全や使用料収入の向上は図れている。施設利用率については全国平均、類似団体と同等程度となり、人口減少や節水による有収水量の減が原因と考えられる。なお、市内においては区画整理事業が進行中で、事業の進捗に伴い施設利用率は今後上昇していく見込みである。しかしながら、汚水処理原価や経費回収率が近年ほぼ横ばい状態であることから、区画整理事業地内の投資が十分に収益化されていないことも分析できる。収益的収支比率については昨年度から減少しているものの汚水処理原価も減少しているため、経営改善に向けた費用削減への取組が成果を上げていると考えられる。今後は老朽化した施設の更新等の整備実施が必須となるため、一層合理的な経営費用の縮減に努めながら計画的な改築・維持管理を行っていく必要がある。また、償還すべき企業債残高については依然高額で、経営費用のうち地方債償還金が占める割合も高いため、低金利の借換債を発行するなど償還額を抑え、更には建設コストの縮減に努めて必要に応じて整備計画の見直し等も行いながら企業債の抑制に努めなければならない。以上の経営状況を踏まえ、経営戦略やストックマネジメント計画の早期策定を目指さなければならない。