経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は昨年度に引き続き100%を達成した。収支の内訳としては、処理区域の拡大や新規接続件数の増加により使用料収入が増加し、他方で、下水道台帳の更新業務が昨年度末で完了したことから費用が減少した。また、これにより一般会計からの繰入金も減少している。③流動比率が40%以上に回復した。昨年度に比べて流動負債が増加したものの、流動資産も増加したことから数値の改善につながった。年度末の工事完了に伴う未払金が増える一方で、同工事にかかる国県補助金や企業債による現金・預金資産が増加したことが要因と思われる。今後は類似団体平均値を目標に健全経営に向けた取組みに努めていく。⑤経費回収率は60%を達成した。前述のとおり、使用料収入が増加したことに加え、汚水処理費も減少したことによる。昨年度から数値は改善されたものの、未だ100%を下回っている状況であり、一般会計からの繰入金に頼る部分が大きいといえる。今後も適正な使用料収入の確保と汚水処理費の削減に取組み、さらなる経営の健全化・効率化を図っていきたい。⑥汚水処理原価が低下し、経営の効率性が増している。汚水処理費の減少と年間有収水量の増加の双方で改善がみられた。事業計画の推進に伴う処理区域が拡大により今後も有収水量は増加していくと見込まれるため、併せて維持管理費の削減に努めることで、さらに経営の改善を図っていきたい。⑦施設利用率はやや低下したものの、昨年度と比べても大きな変動はなかった。公共下水道については供用開始後間もない状況であるとともに、未だに事業計画が進行中であることから、今後の処理区域の拡大や接続率の上昇に伴って徐々に改善されていくと思われる。⑧水洗化率が改善され、20%に回復した。公共用水域の水質保全や使用料収入の増加の観点から、区域内の接続促進の取組みを強化し、今後も水洗化率の向上を図っていく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率はやや増加し、28%を超えるに至ったが、まだまだ老朽化の度合いは高いとは言えない。供用開始から間もない時期であり、未だ法定耐用年数を超過した管渠はなく、そのため管渠の更新も実施していない。ただ、雨水管渠については今後数年で耐用年数を迎えるものが出てくるため、計画的な調査・更新が必要となってくる。その他、処理場設備等については適宜更新や修繕を行うなどして機能維持に努めており、今後も適正な施設管理に取り組んでいきたい。
全体総括
経営面にかかる各指標がおおむね改善されており、経営状況は良くなっているといえる。特に使用料収入が年々増加していることにより、経費回収率も上昇し、一般会計からの繰入金に対する依存度も下がってきている。公共下水道については、未だ事業計画が進行中であり今後も処理区域が拡大していくことから、供用開始区域における早期接続の促進による水洗化率の向上に加え、段階的な使用料の見直しによる使用料収入の増大が期待できるため、これによってさらなる経営改善に取り組んでいく。また、施設の管理について、法定耐用年数を経過した管渠はないが、設備等も含めた長寿命化に向けてストックマネジメントに基づく計画的かつ効率的な改築更新を行い、保有資産や事業費について適正に管理していくことで、引き続き安定的で効率的な事業運営を行っていきたい。