経営の健全性・効率性について
平成28年度において、経常収支比率が全国平均値等より低いものの100%を上回り、給水原価が全国平均値等より約50円も低く、料金回収率が約108%となり全国平均値等を上回り、流動比率についても前年度よりも減少したものの、約600%となっていることから、収益性や支払能力に関する健全性については、前年度に引き続き堅調に推移している。料金回収率については、約108%となり、全国平均値等を上回っている。これは、大口需要者の使用水量が増加したことにより、給水収益が増収する一方で、給水原価が下がったことに起因するものである。しかし、一般世帯における使用水量は減少していることから、今後、人口減少等により給水収益が減収し、料金回収率は悪化していくことが予測される。流動比率については、依然として100%を大きく上回っているものの、現金残高と企業債残高がほぼ同額となっていることから、収益の確保及び費用の抑制を行い、現金の確保に努める必要がある。企業債残高対給水収益比率については、平成27年度より企業債約12億円の償還が開始したことにより企業債残高が減少していること及び給水収益が増収したことから前年度より31.32ポイントの低下となった。しかし、今後、施設の老朽化に伴う設備投資が増加することが予測され、企業債を活用するときは、利率及び償還年数等を充分に考慮し、将来世代への負担の軽減を図る必要がある。有収率については、漏水調査に伴う適切な修繕業務等により、前年度より1.62ポイント改善し、類似団体平均値を上回り、効率性の向上に努めている。施設利用率においては、大口需要者による使用水量の増加に伴い、前年度より3.5ポイント上昇しているが、人口減少に伴い水需要が減少していくことが予測され、既存施設の規模についての検討が必要である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却比率について、前年度に取得した固定資産に係る減価償却分が増加したことに伴い、前年度より1.05ポイント上昇しているが、依然として全国平均値等より低い値となっている。また、管路経年化率については、前年度より0.42ポイント上昇し、類似団体平均値よりも高い値となっている。管路更新率についても、全国平均値等より低い水準で推移しており、改善できていない状況となっている。有形固定資産減価償却比率及び管路経年化率は右肩上がりの傾向が続くと予測され、適切な管路の更新が望まれるが、更新費用が経営を圧迫する側面を持つことから、管径の見直し及び実耐用年数の採用等を検討しながら計画的な更新事業を行い、また、補助金等の活用を図りながら管路更新比率を上昇させる必要がある。
全体総括
平成28年度は、大口需要者の使用水量の増加に伴い給水収益は増収したが、給水人口の減少等に伴い水需要が減少する厳しい社会情勢であることには変わらず、将来にわたり健全な経営を維持するために、収益の確保を図っていく。施設利用率においても、水需要の減少に伴い低下していくことが予測され、適切な施設規模のあり方について、スペックダウン、ダウンサイジング及び広域化を含めた検討を行っていく。また、法定耐用年数を超える管路が増加し、更新に要する費用が増加することが予測されることから、経営戦略の策定等を行い、適切な設備投資を行うとともに補助金等も活用することにより現金を確保し、健全な経営に繋げる取組みを行っていく。