経営の健全性・効率性について
①経営の健全性を示す経常収支比率は、前年度比1.91ポイント増の112.71%となり令和3年度も黒字を確保した。しかし、一般会計からの繰入が総収益の4割を超え繰入金に依存した状態であるため、今後も収益性を考えた効率的な整備を進め、接続率向上と使用料の増収を目指す。③短期的な支払能力を示す流動比率は、類似団体と比較して高い水準にあるものの100%を下回っており、支払能力を高めるための経営改善を図る必要がある。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均を大きく下回ったが、将来的には未普及対策から更新へのシフトにより比率増加が見込まれる。⑤使用料水準の妥当性を示す経費回収率は、前年度比2.68ポイント減の97.32%となり100%を下回った。汚水処理費用の全てを使用料収入でまかなえず一般会計繰入金に依存している状況であるため、更なる経営改善に努め、使用料水準適正化についても引き続き検討していく必要がある。⑥汚水処理に係るコストを示す汚水処理原価は、類似団体平均を下回ったものの前年度に比べ5.09円増加した。今後も効率的な整備や接続率向上の取組を進め有収水量の増加に努めるとともに、コスト削減を図っていく。⑦本町の下水道は最終的に流域下水道(県の施設)に接続しており、下水の処理は流域下水道の処理場で行っているため、施設利用率はない。⑧処理区域内において下水道を利用し汚水処理している人口の割合を示す水洗化率は、類似団体と比較して低い状態にある。大規模住宅開発地の接続や集中浄化槽地域の下水道切替などにより改善しつつあるが、接続率向上に繋がる効率的な整備を進め更なる改善を図っていく。
老朽化の状況について
①資産の老朽化度合を示す有形固定資産減価償却率は、類似団体と比較して低い数値となっている。理由としては、本町の公共下水道は整備開始から30年が経過したものの、法定耐用年数に近い資産が少ないことが挙げられる。しかし、今後は事業着手当初に敷設した管渠などの修繕や更新の増加が見込まれることから、更新費用の増加に備え財源確保に努めていく。②管渠の老朽化度合を示す管渠老朽化率は、法定耐用年数を経過した管渠がないため0%となっている。しかしながら、事業着手当初に敷設した管渠は法定耐用年数50年のうち約30年が経過しており、受贈した管渠で敷設から40年近く経過しているものもあるため、管渠の点検・補修など予防保全を計画的に進めていく必要がある。③当該年度に更新した管渠延長の割合を示す管渠改善率は、令和2年度に実施した管路調査に基づき老朽化が見られた管渠240mの管更生工事を実施したことにより、類似団体平均と全国平均を上回った。今後も財源確保に努め、計画的に更新工事を進めていく。
全体総括
公営企業会計適用後2年目の令和3年度の経営状況を各指標から分析したところ、経営の効率性は類似団体と比較しても概ね高い水準であると言える。本町の公共下水道事業は未普及解消段階にあり、整備面積拡大とともに接続戸数・使用料収入とも順調に増加していたが、令和3年度は接続戸数が増加しているにもかかわらず令和2年度に比べて有収水量が減少し、使用料収入が減少した。今後も人口減少や節水機器の普及により使用料収入の伸び悩みが想定されるうえ、一般会計繰入金に依存するなど依然として厳しい経営状況にあることから、経営戦略の見直しを図るとともに効率的な面整備の拡大や接続促進により有収水量及び使用料収入の確保に努めていく。その上で、使用料徴収事務を委託している群馬東部水道企業団や近隣市町との連携強化を図り徴収率向上を目指していきたい。今後も、財務諸表を活用し財政マネジメント向上を図るとともに、ストックマネジメント策定に向けた検討を引き続き進めていく。将来的には策定したストックマネジメント計画に基づいて改築・更新費用に充てられる国庫交付金等を活用しながら、計画的かつ効率的な更新・維持管理を行っていく。