経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、前年度に比べ4.91%減少している。また、類似団体平均値よりも低い。料金回収率が73%と低く、料金収入では賄いきれない費用を一般会計からの補助金で賄っている。人口減少に伴い、給水収益の回復は見込めないことから、民間業者への事業委託を検討するなど、一層の維持管理費縮減に努めなければならない。④企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均値と比ベて高い。水道未普及地域解消事業等合併当初からの設備投資に多額の企業債を借入れていることが大きな要因である。平成28年度までが企業債償還のピークのため、今後はなだらかに減少していく。⑤料金回収率は、前年度に比べ3.98%減少している。人口の減少等により料金収入が減っていること、過去に取得した減価償却費や企業債利息の支払いが給水原価を押し上げていることが要因である。給水収益での不足分を一般会計補助金で補填している。⑥給水原価は、前年度より15.63%上昇している。また、類似団体平均値より高い。浄水施設の更新による減価償却費の増が主な要因である。人口減少に比例して、有収水量も減少傾向のため、今後は水需要に応じた効率的な施設運用と維持管理に努め、経常経費の削減に努める。⑦施設利用率は、類似団体平均値より低く、前年比で横ばいとなっている。給水人口の減少や節水器の普及に伴い使用水量の減少は避けられないため、今後の施設更新では水需要の減少に応じたダウンサイジングや統廃合を効率的に実施していく。⑧有収率は、類似団体平均値より低く、年々低下傾向にある。老朽化した配・給水管の漏水が主な原因である。今後も、計画的な老朽管更新工事の実施に努める。
老朽化の状況について
②管路経年化率は、法定耐用年数が経過した送・配水管が発生したため上昇している。今後更新時期を迎える老朽管が増加していくため、老朽管更新計画策定し、費用の平準化を図りながら計画的に更新工事を実施していく。③管路更新率は、前年度に比べ0.36%上昇している。他事業施工に併せて更新工事を実施し、コスト削減に取り組んでいる。上水道創設当初の管路が多く、老朽化が進んでいくことから、現在実施している浄水施設の更新事業を完了させた後、長寿命化計画及び管路更新計画を策定し、費用の平準化を図りながら事業を進めていく。
全体総括
平成28年度も経常収支比率は100%を超え黒字経営とはなっているが、前年度に比べ4.91%減少している。依然として料金回収率も低く、給水に係る費用が営業収益のみで十分に賄えていない。繰出基準外の一般会計補助金への依存度が高い。今後は、継続的な経費削減と料金収入の確保が必要なことから、近隣事業体と連携した業務の共同化や、民間事業者の積極的な活用など、効率的な事業運営を十分に検討していく。また、老朽化した浄水施設や管路等の更新が今後の課題となることが予想されるため、長寿命化計画や管路更新計画を策定し、水需要の変動に合わせた施設の統廃合や、施設更新費用の平準化を図ることにより持続的な経営ができるようにしていく。