経営の健全性・効率性について
令和2年度より地方公営企業法を適用している。➀経常収支比率は、黒字であることを示す100%を超えているが、経費回収率は100%を下回っている。汚水処理に係る費用が使用料以外の収入で賄われている現状であることから、より慎重な財政運営が必要となっている。③流動比率は、類似団体平均値を下回っており、十分な資金を留保できていない。これは、地方公営企業法適用からまだ2年経過したばかりであり、引継現金が少なかった点と企業債の元利償還金がピークを迎えており自己財源に乏しかった点が要因している。しかし、昨年度より約15%伸びており、今後企業債が続々と完済するため、企業債償還額が減少すると予想され、流動資産は増加傾向となることから留保資金の確保に務めていく。④企業債残高対事業規模比率は、平均値を大きく下回っているが、整備率が高く新たに整備する工事が少ないことが要因している。今後は老朽化に伴う管渠の改築工事の増加が見込まれており、長寿命化対策を検討し、更新投資を平準化することで企業債の発行額の抑制を図るようにする。⑤経費回収率は、前年度比2.67ポイント減の89.79%となり100%を下回っていることから、使用料収納率の改善や汚水処理費の削減等、より慎重な財政運営に努める。⑥汚水処理原価は、平均値より若干上回っており、今後、維持管理負担金は増額となる見込みであるため、不明水対策等による有収水量の増加に努める必要がある。⑧水洗化率は、平均値を上回っており、今後も未接続者に対する働きかけを行い接続の普及促進を行う。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、平均値より大きく上回っている。昭和60年に供用開始を行ってから37年を経過しているため老朽化が進んでいる。管渠の耐用年数が50年とすると現有施設の更新が本格化するまでに10年として人口減少に伴う使用料収入の減少を踏まえ、更新に必要な投資額を試算し、財源確保に努めながらストックマネジメント計画に基づいた管路の点検調査・更新工事等の実施を進めていく必要がある。
全体総括
令和2年度より地方公営企業法を適用したことにより、経営戦略をもとに使用料体系の適正化や経費削減等の取り組みに加え、経営状況の適格な把握及び下水道資産の適切な管理を図り、今後も下水道事業として持続可能な事業運営に取り組んでいく。