経営の健全性・効率性について
平成29年度から料金の値上げ改定を実施し、収益的収支比率は81.46%と、類似団体平均を上回りましたが、依然として総収益で企業債の償還を含めた費用を8割程度しか賄えていない状況です。企業債残高対給水収益比率においては給水収益が増加したものの、建設改良事業財源として企業債を借り入れた為、結果として平均を大きく上回る146.8%となりました。料金回収率は年々低下していましたが、料金収入の増加があって昨年度に続き26.51%まで回復しました。しかし、類似団体平均と比較すると依然として大幅な差があります。本事業地域が大変広範囲かつ人口過疎地域であるため、計装装置や管路の整備等に費用が掛かる一方で、料金収入の大幅な増加が見込めないことが給水原価の高止まりを招いています。設備の更新等は企業債の発行に頼らざるを得ませんが、既存設備の保守管理経費をねん出するため、経費の圧縮を図っていく必要があります。有収率は72.10%と、昨年度より若干下降しました。有収率の低下は配水管の漏水によるものが主であることから、計画的に漏水調査を行い、今後も有収率の向上に努めていきます。
老朽化の状況について
現在簡易水道地域に敷設されている管路の老朽化が進んでいますが、費用上の理由により敷設替えのできないまま様々な要因で漏水が発生している状況です。しかもその殆どが小さな水漏れ程度の漏水であり、漏水調査をしてもその範囲が大変広大なため、実態を把握することが容易ではありません。漏水状況が通行止めなどの交通障害や人的被害を伴うものでもなければ、漏水の事実すら把握することが困難な状況です。しかしながら、安定的な水の供給を行うために、今後計画的に施設修繕や管路敷設替えの費用を計上し、設備投資を行っていかなければなりません。
全体総括
類似団体平均と比べれば経営状況は平均的なものといえますが、簡易水道には人口過疎地域の水供給を担う役割があり、施設管理の難しさや給水人口の少なさを考えると、今後益々厳しい経営状況になることが予想されます。それでも地域の違いが行政サービスの違いにつながらぬよう各機関と連携しながら簡易水道を保持し、経常経費の圧縮に努めることによって、永続的に安全な水を安定的に供給できるような経営を目指していきます。