経営の健全性・効率性について
①給水収益等で施設の維持管理費や支払利息等の費用をどの程度賄えているかを表す経常収支比率は、過去5年間すべて100%を上回っており、収支が黒字であることを示している。令和2年度は、収益全体の78.6%を占める給水収益が前年度比2.8%増と過去5年間で最も高い数値となったものの、施設老朽化に伴う更新投資の増加により、上昇率は微増にとどまった。③1年以内に支払うべき債務に対して、支払うことができる現金等がいくらあるかを示す流動比率は、過去5年間、理想的な企業といわれる200%以上を優に上回っている。④給水収益に対する企業債残高の割合を示す企業債残高対給水収益比率は、平成30年度以降新規の借入れがないため、年々減少している。類似団体の平均値を優に下回っているが、施設の更新投資や経営状態を踏まえ、適宜借入れや料金水準の見直しを検討していく必要がある。⑤給水に係る費用(給水原価⑥)が、どの程度給水収益(供給単価)で賄えるかを示す料金回収率は、過去5年間ですべて100%以上で、給水に係る費用がすべて給水収益のみで賄われていることを示している。⑥給水原価は水道水を1㎥作るのにかかる費用のことで、過去5年間で130円から140円台を推移している。これは、類似団体の平均値を優に下回っており、費用削減等の取組による健全経営であることを示している。⑦施設利用率は、1日の配水能力に対する平均配水量の割合である。近年、50%から60%代を推移しており、令和2年度は、類似団体と比較しても差はほとんど見られない。しかし、今後給水人口の減少やこれに伴う収益の減少、施設更新投資費用の確保等の課題が見込まれる本町において、施設規模の見直しや周辺団体との広域化等の検討が必要である。⑧有収率においては、近年下降傾向にあったが、令和元年度に直営での漏水調査を行い早期に対策を講じたことで、漏水量の減少に繋がり有収率は向上した。令和2年度は、配水管からの漏水により前年度と比較すると漏水量が2.1%増加したため、有収率は漸減した。今後も漏水対策を随時講じ、有収率の向上に努めたい。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率においては、昭和50年代前半から大規模な管路整備等を行い、その時に布設した管路等が耐用年数を迎える時期となっている。③管路更新率においては、類似団体及び全国平均を上回っている。令和2年度は、道路改良工事等に併せた配水管の布設替えや老朽化した配水管の布設替え、漏水が多発していた送水管の更新を行った。更新対象管路延長の微増により更新率がわずかに上昇した。
全体総括
水道事業を取り巻く環境は、年々厳しさを増してきており、今後は、給水人口の減少に伴う収益の減少と、過去に建設した施設等が大量に更新時期を迎えることによる改修費用の確保をどうするかという課題に直面することが予想される。引き続き経費の節減に努め、経営の健全・円滑化を図り、公営企業の使命に沿って、努力を重ねていかなければならない。今後も安定的に水道事業を継続していくため、中長期における新富町水道事業基本計画及び経営戦略に基づき、施設の更新及び老朽管の布設替等を計画的に進めたい。また、近隣事業体との経営統合等広域化についても検討を進めながら、より安定した事業継続に努めたい。