経営の健全性・効率性について
①類似団体、全国平均と比較して少し低い比率ではあるが、100%は超過しており、経常収益で賄えている状況である。多額の減価償却費は一般会計繰入金により均衡が保てていることから、今後の更新投資等の財源確保が困難な状況であり、経常経費の更なる削減等、経営改善に努める必要がある。②29年度は、法適用初年度であり、28年度以前から存在する未収給水収益に係る特別損失を計上したことにより欠損金が発生したが、30年度以降については利益剰余金が発生していることにより29年度の欠損金を補うことができている。③企業債元金償還金が当面の間、5億5千万円前後で推移するが、法適用直後で現預金を保有していないため、類似団体、全国平均と比較しても極めて低い。現状の経営状況では、当面の間、同水準で推移すると見込む。④類似団体が450%程度で推移しているのに対し、本町は1,423%と極めて高い水準となっている。統合簡易水道整備事業により大規模な建設投資を行ってきており、それに係る経費の大部分を地方債の借入に頼っていることから、地方債残高が高額となっている。年間有収水量は、給水件数の減少から横ばい状況である。28年度で統合簡易水道整備事業が完了し、29年度以降、大規模な建設投資の計画はなく、地方債残高は減少すると考えられるが、類似団体と同規模の数値までには、依然として25年以上後となる見込みである。⑤類似団体は平均95%程度であるが、本町は元年度にかろうじて50%を超えた程度である。減価償却費は6億円を下回ったものの高い水準であることが影響し、給水原価は430円となった。供給単価は依然として240円前後で推移しており、当面の間、料金回収率は50%付近の数値を維持する状況と考える。⑥類似団体が190円前後であるのに対し、本町は若干低下はしたものの430円と高額になっている。高額な設備投資を行ってきたことにより法適用以前から給水原価は500円~550円前後で推移していた。減価償却費も6億円に近い規模であり、人口減少等に伴い、一般家庭の使用量が減少することが予測されるとともに施設の老朽化に伴う修繕費の増加等から、給水原価は、今後も高い水準を維持しながら推移することが予測される。⑦類似団体が54%前後であるのに対し、本町は40%台となっている。一日平均配水量は約7千㎥前後で推移している状況であるが、施設能力に大きな変動はないため、今後も40%台で推移するものと考えられる。⑧類似団体は80%前後であるが、70%前半となっている。年間総配水量は平均約270万㎥前後で推移をしているが、有収水量は人口の減少傾向に伴い年々減少の傾向にある。今後も人口減少による有収水量の減少が予測されるとともに、老朽化による漏水の増加に伴い、配水量の増加が予測されるため、有収率も低い水準を維持すると考える。
老朽化の状況について
①平成以降に統合簡易水道整備事業で整備した有形固定資産が多いため、有形固定資産減価償却率は、類似団体、全国平均と比較すると低い数値となっている。浄水場等の施設更新は一定達成できているが、今後は管路更新が主要更新事業と捉える。②類似団体が21.14%、全国平均22.30%に対し、本町は31.55%という数値となっている。昭和40年代後半から50年代に建設した施設の多くを現在も活用している状況であり、今後、効果的な管路更新を進めたいと考える。③全国平均にはやや劣るものの、類似団体と比較してほぼ同程度となっている。今後は管路更新事業が中心となってくることから、効果的な管路更新を進めたいと考える。
全体総括
平成29年度から上水道事業として法適用を受け、企業会計に移行した。より効果的で効率的な建設投資を実施し、施設の老朽化や耐震化への対応を検討するとともに、安定した料金収入の確保に努め、広域化・広域連携等の検討等、事業経営の健全化を図りたい。また引き続き人口減少といった課題についても、町関係部局と連携し、積極的な定住施策や企業誘致の推進に努める。