経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、100%を下回っており、費用削減等の経営改善に努めていきたい。累積欠損金比率は、ここ数年は減少方向に推移していたが、昨年度は増加しており、今後の維持管理費等を含め費用削減等の経営改善に努めていきたい。流動比率は、ここ数年は100%を下回っている。しかし、1年以内に償還する企業債を除けば、100%を上回っていることから不良債務とはなっていないが資金状況は年々厳しくなっている。企業債残高対給水収益比率は、東日本大震災からの復旧作業中は企業債を借入していないことから着実に企業債残高が減少しているため、当該数値も低く推移しており、類似団体平均値も下回っている。料金回収率と給水原価は、前年度からほぼ横ばいに推移しているが、類似団体の平均値にはまだまだ及ばない状況であり、今後も水道経営の健全化と効率化に向け努めていきたい。施設利用率が令和元年度に上昇しているのは、令和元年度に水道事業認可変更を行い1日配水能力を見直したことによる。有収率は、水質維持のための排水及び老朽管からの漏水等により伸び悩んでいる。震災復興事業もほぼ完了したので、今後は老朽管更新事業を行い有収率アップに努めていきたい。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、震災前に老朽化が進んでいた沿岸部の施設を震災後、新たに構築したことにより、類似団体平均値を下回っている。管路経年化率のグラフに反映されていない数値は以下のとおりである。平成29年度17.46%平成30年度17.14%令和元年度16.97%令和2年度17.07%被災した沿岸部の管路が震災に伴う災害復旧工事により、更新されたため、類似団体平均値を下回っている。管路更新率は、類似団体平均値を上回っているのは、災害復旧工事によるものであり、工事が終了するにつれて低下していくものと思われる。震災に伴う災害復旧工事完了後は、国の補助事業を活用して、老朽管を更新し管路の耐震化に努めていきたい。
全体総括
東日本大震災に伴う水道事業の復旧工事については、令和4年度に終了する見通しである。令和2年度に策定した経営の基本計画である「経営戦略」の財政計画に基づいて、経営の安定化を図り、累積欠損金の解消や流動比率、料金回収率の向上を目指す。さらに国庫補助や起債を活用しながら、老朽管更新事業を行い管路経年化率を抑えられるよう努めていく。同時に有収率の向上につなげていき、経営の効率化を図りながら料金改定についても検討していく。