経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率の減少は、使用料収入が前年比16.0%減少していることが主な要因であるが、これは地方公営企業会計への移行に伴う打ち切り決算による影響であり、一時的な現象であると考えられる。④企業債残高対事業規模比率についても①と同様に、使用料収入の減少に伴い指標が増加に転じている。他団体に比較して低い水準にあるが、企業債残高の規模は大きく、今後の投資と企業債発行には十分な注意が必要である。⑤経費回収率についても①と同様に、使用料収入の減少に伴い、指標が減少している。⑥汚水処理原価についても、打ち切り決算に伴い、汚水処理費が前年比5.5%減少したため、指標が減少している。⑦施設利用率は、事業計画の見直しに伴い処理能力を下げたことにより、大幅に指標が改善された。⑧水洗化率は、管渠整備に伴い処理区域内人口が増加したことにより、指標が減少している。汚水管渠の整備は平成30年で終了する予定であり、今後は処理区域内での汚水処理人口割合の向上を目指す。
老朽化の状況について
③管渠改善率については、前年度比で0.02ポイント下がっているが、ほぼ横ばいと言える。現状では、管渠の更新がほとんど行われていないが、これは供用開始から50年が経過していないこと、処理区域内の管渠整備にリソースを割いていることなどが主たる原因である。汚水管渠の整備については、平成30年度で終了する見込みであるが、一方で雨水対策が急務であり、今後はそちらへ主軸がシフトしていくことになる。今後は適宜管渠の更新を行っていく必要があるが、限られたリソースの中で機能を維持できるよう、適切なマネジメントが必要になる。
全体総括
平成28年度決算は、平成29年度からの地方公営企業会計への移行に伴う打ち切り決算に伴い歳入歳出が減少したため各指標にも影響が見られ、単純な年度間比較が難しくなっている。汚水管渠の整備が平成30年度で終了することから、今後処理区域内人口及び使用料収入の増加は見込めず、減少に転じていくことが予想される。一方で、雨水対策に整備の主軸がシフトしていくことが予想されることから、そのような背景を踏まえた上で、持続可能な事業のあり方を提示できるよう中長期視点に立った事業計画の策定が急がれる。