経営の健全性・効率性について
本市の公共下水道事業は、平成28年度より地方公営企業法を適用し公営企業会計となり、6年目の決算を迎えました。平成20年以降の管渠築造や処理場建設等の集中的な整備により、令和3年度の本市全体の普及率(公共下水道及び特定環境保全公共下水道を合わせたもの)は、平成22年度の52.8%から99.4%と大きく向上しています。人口の増加や普及拡大により、使用料収入は増加しており、その他一般会計からの繰入金などもあって、①経常収支比率は、113.68%となっています。また、③流動比率は74.27%に上昇しましたが、100%には至っていません。本市は、集中的な整備の財源として多額の企業債を借り入れたため、④企業債残高対事業規模比率は、類似団体の平均値と比較しても、高い状況です。⑤経費回収率は101.86%となっており、健全性は確保されていますが、更なる経費の削減が求められます。⑥汚水処理原価は160.79円で、類似団体の平均値より高くなっています。⑦施設利用率は類似団体の平均値を上回っており、効率的な利用ができているものと思われます。⑧水洗化率は91.89%で、年々上昇していますが、今後も接続促進に向けた努力が必要です。
老朽化の状況について
本市の下水道の本格的な整備は、平成20年度以降であるため、①有形固定資産減価償却率は、類似団体と比較して低い状況にありますが、年々、上昇してきています。早期に宅地開発された大型団地の管渠については、耐用年数を考慮し、老朽化対策として管路等調査を経て、順次、計画的な改築・更新を実施しているところです。
全体総括
公営企業会計となり6年目の決算を迎え、経常収支は、前年度に引き続き黒字となりました。令和3年度においては、健全な経営が行われている状況です。今後の使用料収入については、人口の変動や公共下水道への切り替えに伴い、微増していくと見込んでいます。一方で、集中的な整備の財源として借り入れた企業債の償還や処理場の設備等の修繕、更新費用などが増加する見込みであることから、財政状況は厳しくなると思われます。健全な経営を行っていくため、削減できる経費がないかの見直しを行い、使用料収入の確保や接続促進に向けた取り組みを実施していきます。また、処理場の設備等の更新費用の縮減を目指し、ストックマネジメント計画に基づいた施設の長寿命化を図っていきます。