経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、令和2年度の地方公営企業法適用以降、100%を上回っています。②欠損金は発生しておらず、使用料収入や一般会計からの繰入金等により事業費用を賄えています。③流動比率は、前年度利益による流動資産の増加、1年以内に返済予定の企業債の減少などにより前年度より改善し、類似団体平均を上回ってはいますが、依然として100%未満であり短期的債務に対する支払い能力が十分ではありません。④企業債残高対事業規模比率は、前年度よりは減少したものの、類似団体を大きく上回り、企業債残高に対し使用料収入が不足している状況です。⑤経費回収率は、前年度からほぼ横ばいで、類似団体や100%を大きく下回る68%であり、汚水費用が使用料収入だけでは賄えていません。③④⑤の経営に関する指標が悪い方向にあるのは、共通して、使用料収入では費用を賄えず、一般会計からの繰入金により事業運営していることが主な理由です。⑥汚水処理原価は、前年度からほぼ横ばいで、類似団体平均を上回る150.42円となっています。⑦施設利用率は、処理場を保有していないため、表示はありません。⑧水洗化率は類似団体平均値を下回っていますが、農業集落排水統合による下水道区域内人口の増加や接続推進等により継続して向上しています。引き続き、使用料収入増加のため、接続推進等の取り組みを実施します。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体を大きく下回り、老朽化の度合いが低いことを示していますが、今後は経年状況への注視が必要です。②管渠老朽化率は類似団体と比較して非常に低くなっており、一部雨水管渠は耐用年数を超えているものの、汚水管渠は平成3年に供用開始したため、耐用年数50年を超える老朽化管はありません。しかしながら、一部の陶管で補修が必要な箇所が見られます。また、マンホールポンプや雨水ポンプ場施設では電気機械設備等の老朽化が進んでおり、改築・更新が必要です。③管渠改善率は陶管の管渠更生工事実施により、類似団体と同程度の改築・更新を実施できていることを示しています。今後は、管渠調査や令和7年度策定予定のストックマネジメント計画を活用し、維持管理・更新費用の縮減と平準化を図り、改築・更新を実施します。
全体総括
事業費用に対し使用料が安価なため、事業の収益性が悪く、一般会計からの繰入金によって事業を運営している状況です。しかしながら、水洗化率の向上・大口事業者の接続による排水量の増加による使用料収入の増加により、今後の経営状況は回復を見込んでいます。現在、令和2年度策定の経営戦略に基づき、投資費用最適化・他自治体と連携した事業広域化・官民連携の推進による「持続可能な経営基盤の確立」、接続推進活動・普及活動による「水洗化率の向上」、財政収支状況や使用料単価の検証等による「使用料の適正化」に努めています。これら3つの経営基本方針により、安定したサービスの継続と健全な経営の実現を図っていきます。(経営戦略次回見直し予定:令和6年度)