経営の健全性・効率性について
本市では管渠の整備や、終末処理場及び雨水ポンプ場の更新を計画的に進めている影響から減価償却費の増加が続いていることにより、①経常収支比率は100%を下回り、②累積欠損金比率が発生する状況となっています。④企業債残高対事業規模比率についても施設の整備・更新のために企業債を借り入れていることから類似団体より高い数値になっているものと考えられます。③流動比率については、100%を下回っていますが、建設改良費等に充てられた企業債が含まれており、これは翌年度の一般会計繰入金で賄うため、支払能力が不足するものではありません。⑤経費回収率は100%を下回っており、使用料収入の増加を図る取り組みが必要です。⑥汚水処理原価については、150円/㎥を超える部分は一般会計から繰入をしているため含まれていません。令和4年度から共同汚泥処理施設が稼働するため、実質的な汚水処理原価の減少が見込めます。⑦施設利用率については、数値がやや下がっていますが、これは将来的な管渠整備による供用開始区域の拡大及び下水道普及率の上昇に対応するため、終末処理場の施設の更新を行った結果、処理能力が向上したためです。⑧水洗化率については、類似団体より低い数値となっていますが、前年度から1.52ポイント増となっています。今後も管渠の整備を計画的に行い、数値の向上を目指します。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、減価償却費の増加により、前年度より数値は上がっていますが、依然として法定耐用年数に近い資産が少なく、類似団体より低い数値となっています。②管渠老朽化率及び③管渠改善率については、有形固定資産のうち償却対象資産や法定耐用年数(50年)を経過した管渠がなく、類似団体より低い数値となっています。引き続き、保有資産の老朽化の状況を踏まえて管渠の改善等に努めていきます。
全体総括
本市における、令和3年度末での管渠整備区域は1,546ha、普及率は86.65%となりました。普及率向上のため、今後も生活環境整備の重点事業として整備促進に努めていきます。水洗化率は94.3%となりましたが、使用料収入の増加を図るため、今後も積極的な啓発活動を行い、水洗化率向上に努める必要があります。また、普及率が向上する一方で厳しい経営状況が続いていることから、安定した下水道事業を市民に提供していくための経営改善策の一つとして、下水道使用料の改定を検討していく予定です。なお、経営戦略については、平成30年度に策定済みですが、これらの課題を踏まえ令和5年度に見直しを行う予定です。