経営の健全性・効率性について
本市の公共下水道事業は、平成28年度より地方公営企業法を適用し公営企業会計となりました。平成27年度以前とは会計方式が異なるため経年比較ができないことから、類似団体との比較を中心に分析を行います。平成20年以降の管渠築造や処理場建設等の集中的な整備により、普及率は平成22年度の52.8%から平成28年度には92.8%と大きく向上しました。普及拡大に伴い使用料収入は年々増加しており、その他一般会計からの繰入金収入などもあって、①経常収支比率は類似団体には及びませんが100%を若干上回っています。一方、集中的な整備の財源として多額の企業債を借り入れたため、④企業債残高対事業規模比率は類似団体より高く、また、その償還金として流動負債が高額になった結果、③流動比率は低くなっています。⑤経費回収率は91%と類似団体の平均値より若干低く、100%には至っていません。⑥汚水処理原価は164円と、類似団体とほぼ同額となっています。今後これらの指標は、人口増加に伴う使用料収入の増により若干は改善されると予測されますが、更なる経費の削減と適正な使用料収入の確保が求められます。⑦施設利用率は類似団体を若干上回っており、効率的な利用ができているものと推察されます。⑧水洗化率は類似団体の平均値より大きく下回っており、今後向上に向けた企業努力が必要です。
老朽化の状況について
本市の下水道の本格的な整備は平成20年度以降であるため、①有形固定資産減価償却率は類似団体と比較して非常に低い状況です。老朽化対策として、まもなく耐用年数を迎える、大型団地の開発に伴い早期に供用開始した管渠等について管路等調査を経て計画的な改築・更新を順次実施しています。
全体総括
公営企業会計となり初の決算を迎え、経常収支は黒字となりました。平成28年度においては健全な経営が行われている状況です。しかしながら将来を見据えますと、今後、人口の増加に伴う使用料収入の増加は見込まれるものの、集中的な整備の財源として借り入れた企業債の償還や、処理場の設備等の修繕費用などが確実に増加する見込みです。更なる経営改善に向けて、収入面では使用料収入の確保や水洗化率の向上に向けた接続促進など、支出面では、処理場の設備等の更新コストの縮減を目指し、ストックマネジメント計画を策定の上、設備の長寿命化を図っていくなどの取り組みを実施していく必要があります。