経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は47.6%と低く、料金収入等の収益で地方債償還金などの費用を賄えていない。原因としては、使用料単価が非常に低いことにより料金収入が少なく、資本費の回収にはわずかしか至ってないことから一般会計からの繰入金に依存していることが挙げられる。また、コミュニティプラントの公共下水道への接続による処理場経費の増加なども考えられる。前年度対比で4.2%改善しているものの、さらなる経営改善に向けた取り組みが必要である。料金収入に対する企業債残高の割合では類似団体の全国平均と比べ約4倍であり、割合が高くなっている。これは使用料単価の低さが主な要因である。経費回収率では、全国平均の半分以下の39.6%となっている。使用料で回収すべき経費を賄えていない状況であり、回収率100%に近づけるよう適正な使用料収入の確保及び汚水処理費の削減が必要である。汚水処理に係る費用では、全国平均よりも低い金額となっている。施設の処理能力に対する処理水量の割合、処理区域内での水洗化を行っている人口の割合は、全国平均より高い数値となっている。これらを更に向上させるため、施設が十分に機能を発揮できるよう努めるとともに水洗化率の向上、経費の削減にも取り組む必要がある。
老朽化の状況について
管渠の耐用年数が50年であるが、建設開始から40年経過している管渠もあり、今後においては緊急を要する修繕等が発生する可能性がある。それを回避するために長寿命化対策として平成30年度よりアセットマネジメントとして管渠の調査及び点検を行う予定である。管渠の更新については、長寿命化計画により実施しているが、将来的には耐用年数に達することから、改築・更新時期を迎える管渠が増加すること等が考えられるため、設備の回復・予防保全のための修繕や事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要がある。
全体総括
収益的収支比率や経費回収率の改善に向け、収入の増加と維持管理費などの経費の節減努力を継続して行う。使用料についてはH28年度に西条処理区の使用料体系(人頭制から従量制へと変更)を見直すとともに、8%の増収となるようH29年3月請求分(12月1月使用分)より改定を行った。以後3年ごとの改定を予定している。合わせて徴収率の向上や水洗化率の向上に努めるとともに、投資の平準化による借入額の抑制を行い一般会計繰入金の減少にも努める。老朽化対策については、アセットマネジメント業務をH30年度から行い、長寿命化対策に取り組む。整備や管理に係る費用についても、費用対効果を検証しながら、平準化を図りつつ計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要がある。安定した収入の確保と投資の効率化や維持管理費の削減、接続率の向上による有収水量を増加させる取組などを行い経営改善に努めていく。