経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、総収益が微減となっているものの、地方債元利償還金等が減少したため改善している。引き続き総事業費の抑制や起債残高の適正な管理に取り組み、今後も改善傾向を継続させる。企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均や全国平均に比べ低い値で推移しているが、本市が流域下水道事業であり、単独で処理場を有していないことから、処理場に係る起債残高が一部含まれていないためと分析している。経費回収率は徐々に改善が見られるものの、全国平均には届いていないため、引き続き改善に取り組む。有収水量は横ばいであるものの、汚水処理費が減となったことから、汚水処理原価は減となっているが、類似団体平均及び全国平均を上回っている。引き続き経費の削減に取り組んでいく。水洗化率は類似団体平均を大きく上回り、95パーセント近い数値を維持している。なお、平成28年度から分流式下水道に係る一般会計からの繰出金の算出基準が変更され、企業債残高に対して一般会計が負担する額の増加に伴い、経費回収率が上昇、企業債残高対象事業規模比率及び汚水処理原価が低下している。
老朽化の状況について
事業開始が比較的遅かったため、ほとんどの管渠が耐用年数に達していないこともあり、現状では管渠改善の必要性は低いと考えているが、今後の更新・長寿命化等に備えた計画の策定に取り組む。
全体総括
事業開始が比較的遅かったものの、早いペースで集中的に整備を進めた結果、高い普及率を誇るに至り、公共水域の水質保全に寄与してきた本市の下水道事業であるが、一方で投資効率が高くない地理的条件と相まって、多額の建設費及び維持管理費が経営を圧迫する要因となっている。改善にむけた取組みとして、流域下水道施設の維持管理等の経費に対する負担のあり方の検討や、必要最低限の事業とすることで、将来への負担となる元利償還金を抑制するなど経費節減に努めていく。また、更なる詳細な自己分析や経営方針の検討を可能とするため、平成32年度からの地方公営企業法適用を見据え、移行事務を進め、将来にわたり事業継続が可能となるよう経営基盤の強化を図っていく。