経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率について前年度と比較すると若干改善しているものの、依然として100%を大きく下回っており、少なくとも収支均衡となる100%を目標とし、収益確保及び費用削減対策を講じる必要がある。④企業債残高対事業規模比率について比率が0%となったが、これは繰入金の考え方を整理したことが理由であり、企業債元金償還額の全額を一般会計負担としたためである。⑤経費回収率について前年度と比較すると約6%上昇しており、過去5年間での比較で見ても、今年度は一番高い比率となっている。しかしながら、依然として100%を大きく下回っており、類似団体との比較においても、約21%下回っていることから、適正な使用料の確保のための方策を早急に検討することが必要である。⑥汚水処理原価について前年度と比較すると約14円減少しており、企業債の元利償還に伴う資本費の減少が主な理由となってる。今後も資本費の減少が予想されるが、維持管理費は増加傾向にあるため、維持管理費の抑制が今後の課題である。⑦施設利用率について前年度と比較すると減少しているものの、類似団体平均値を上回っている状況である。今後の接続率の動向を見ながら、適切な施設規模について検討していく。⑧水洗化率について年々微増しているものの、類似平均を下回っており、経常的な啓発活動に力を入れてく必要がある。
老朽化の状況について
前年度に引き続き、管渠改善率は0%となった。平成26年度以前は、管路調査結果に基づき老朽化したた管渠の小規模な補修を実施してきたが、平成27年度の下水道法改正に伴い、下水道ストックマネジメントが導入された。これにより、下水道施設全体の老朽化の進展状況を把握した後、優先度に応じて維持管理・改築を行っていくこととなり、平成27年度以降は小規模な補修は実施していない状況である。今後、このストックマネジメント計画を作成し、これに基づいた更新を実施していく予定であるが、緊急度の高いものについては、引き続き部分的な更新を実施していく。
全体総括
経営状況については、収益的収支比率が100%を下回っており、良好であるとは言えない。事業運営の重要な指標である経費回収率では、全国平均及び類似団平均を大幅に下回っている状況であり、一般会計からの繰入に依存していると言える。また、下水道使用料は、最低限行うべき経営努力としての適正な水準である3,000円/20㎥を大幅に下回っており、今後増加傾向にある維持管理費の抑制とともに、適正な使用料確保のため、値上げについても検討していく必要がある。施設面では、昭和45年に事業認可を受けて事業着手し、管渠延長は314kmに達し、40年経過した管渠もある。今後、下水道施設全体の中長期的な老朽化の進展状況を捉え、優先順位をつけながら施設の改築を進めるため、ストックマネジメント計画の策定を行い、計画に基づく点検・調査、改築を進めていく。