経営の健全性・効率性について
①経常収支比率100%以上を維持し類似団体平均値、全国平均とも上回り安定した経営が図られており前年比1.7%増となった。これは、経常収益が前年度比3.3%増に対し、経常費用が1.6%増となったことに起因する。経常収益について、9割以上を占める水道料金は、前年比1.3%増となったが、5年前の平成28年度から比較すると約4.6%減となった。近年における節水意識の高揚と人口減少による影響と推測される。一方、経常費用について、給与費が13%増、受託工事費、減価償却費等合わせて約1%増、企業債利息が約26%減となったことにより全体で約1.6%減となったことが主な要因である。③令和2年度の流動資産は配水池更新に伴う大規模投資を予定しているため、老朽管等の布設替え等の投資を極力抑えたことにより現金預金は約7%の増、対し流動負債は企業債の減少により約10%減、未払金が約213.2%増となったことにより流動比率は前年度比16.2%減となった。依然として平均値、全国平均とも大きく上回る状態が続いている。しかしながら、今後は老朽化した配水池や配水管、導水管等の多額の投資を予定しているため、さらに減少傾向に転じていくと予想される。④給水収益は前年度比1.3%増となったが、5年前の平成28年度に比し約4.6%減と年々減少傾向にある。対し、企業債現在残高は前年度比25.1%減となったことにより企業債残高対給水収益比率は約26%減となった。給水収益がほぼ横ばいに対し、現時点で大規模投資が無いため企業債残高が減少し続けることに伴い比例し緩やかに減少傾向で推移している。しかしながら、現在進めている配水池更新や今後予定している老朽施設更新に伴う多額の企業債借入れは避けられないため、増加に転じていくと予想される。⑤料金回収率は、ほぼ前年比同率となり依然として平均値、全国平均とも上回っており適切な料金収入の確保が図られている。⑥給水原価は、平均値、全国平均とも下回り、前年比0.1%の減となった。これは、年間総有収水量が前年比1.3%増に対し、主に経常費用が前年比1.6%増、受託工事費が約20%増となったことに起因する。年間総有収水量はほぼ前年度並みとなったが、5年前の平成28年度から約5%減してきている。これは近年における節水意識の高揚と人口減少による影響と推測される。⑦施設利用率は前年度比1.4%増となった。年間総配水量が前年度比1.1%増となったことに起因しているが、依然として平均値、全国平均を下回っている。現認可の計画給水人口と計画1日最大給水量に比し計画時の約70%程度まで減少していることが主な要因である。⑧令和3年3月末現在の有収率は84.35%で前年比0.2%の増となった。これは、年間総配水量前年比1.1%増に対し、年間総有収水量が前年比1.3%増となったことに起因する。年間総有収水量は昨年度比増となったが、5年前に比し約5%減と年々減少傾向にあり、近年における節水意識の高揚と人口減少による影響と推測される。一方、年間総配水量に大幅な変動がないことに対し、年間総無収水量は5年前に比し約48%増となった。この要因として、営業費用修繕費は前年度比56%増となり修繕箇所が年々増加していることや漏水不明箇所の増加が影響しているものと推測される。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、前年度比償却資産が1%増、減価償却累計額が約6%増となった結果、前年度比約5%増となり平均値、全国平均ともに上回った。配水・浄水施設、管路とも老朽化が進んできている。②管路経年化率は平均値、全国平均ともに上回っている。配水管は計画的に更新できている一方導水管の更新ができていないのが現状である。なお、当該値の記載がないため次のとおり修正する。H28(0.00→22.27)・H29(0.00→23.71)・H30(0.00→26.25)・R01(0.00→27.68)・R02(0.00→28.51)③管路更新率は全国平均を下回っている。令和2年度から実施している、老朽化した既設配水池に代わる新配水池の更新事業に伴う多額投資を優先し、管渠更新を先送りしていることに起因している。なお、当該値の記載がないため次のとおり修正する。H28(0.00→0.53)・H29(0.00→0.29)・H30(0.00→0.47)・R01(0.00→0.14)・R02(0.00→0.23)
全体総括
今後は、現在進めている老朽化した配水池の更新と新たな水源の確保、さらに耐用経年管や浄水施設等の更新により膨大な投資が必要となる。財源確保のため日頃から経費節減に努めていくところであるが、不足分は企業債等による借入となることは避けられないため、企業債残高は再び増加に転じると予想される。このような中、平成29年度で策定した経営戦略の見直しや水道ビジョン、アセットマネジメント策定等の取り組みを継続実施し健全な経営に努めていく。料金収入の確保については、人口減少により現行での使用料収入の増加は見込めないため、前段に示す取り組みや現在下水道事業で進めている公営企業化の取り組みとあわせ総合的に安定した経営が維持できるよう将来的に使用料金の見直しを検討していく。また、新配水池の構築に伴い不用となる現施設跡地の有効利用計画を図りながら安定した運営資金の確保に努めていく。また、安全で安定した施設管理を図るため危機管理マニュアルの策定や施設監視システム体制を強化し、修繕箇所の早期発見など工夫した取組み等により引き続き経費節減に取り組んでいく。