経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を超え、累積欠損金比率は0%ですが、経費回収率が100%を下回っています。使用料で経費を回収できておらず、一般会計の繰入金で補てんしている状況にあります。流動比率は、100%を上回っているため、短期的な債務に対する支払能力はあると言えます。推移もほぼ横ばいであることから現時点では安定的な経営を行っていると考えられます。企業債残高対事業規模比率は、減少傾向にあることから企業債の償還は順調に進んでいると考えられます。汚水処理原価は年々増加傾向にありますが、令和元年度は災害復旧による維持管理費の増加が要因と考えられます。供用開始から30年を迎え、施設の老朽化が始まる中、適切な維持管理費が計上できるように、計画的な更新が必要となります。施設利用率は人口減少や節水機器の普及等社会情勢の変化により、計画と現状にかい離が発生し、50%台を推移しており、処理能力に余剰が生じています。水洗化率はほぼ横ばいで推移しています。規模が小さく、人口変動の影響を受けやすいため、人口の動向にも注視していく必要があります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は増加傾向にありますが、管渠については法定耐用年数を迎えていないため、管渠老朽化率は0%であり、管渠改善率も0%です。農業集落排水の供用開始から50年を迎えるのは令和20年であるため、計画的な老朽化管渠の更新を行っていきます。
全体総括
現状は概ね健全経営を維持していますが、今後、人口減少による使用料収入の減少、老朽化の進んだ施設の更新費用、修繕費用の増加が見込まれます。現在、更新を迎える一部の処理場について、公共下水道への統合を実施していますが、今後も公共下水道だけでなく農業集落排水施設同士の統合も検討し、統合を実施しない処理場の更新も含めて、施設運営の最適化を図っていきます。