経営の健全性・効率性について
経常収支比率が100%を超え、累積欠損金比率が0%であること、加えて経費回収率が100%を超えていることから経営の健全性は保たれていると考えられる。流動比率は、平成26年度の会計基準見直しによる借入資本金制度の廃止に伴い、1年以内に償還する企業債が流動負債へ計上されたことで短期支払能力の目安である100%を割り込むこととなった。一方で、企業債残高対事業規模比率が年々減少していることから、企業債償還が順調であることが窺え、将来的に流動負債の減少を通じて流動比率の改善が考えられる。汚水処理原価は、減価償却費と支払利息の減により減少傾向にあるが、施設の老朽化が進む中、平成28年度は維持管理費の増加により上昇しており、今後も更新による汚水処理原価の上昇が考えられる。施設利用率は、人口減少や節水機器の普及等社会情勢の変化により、人口や処理水量について計画値と現状にかい離が発生し、50%台を推移しており、処理能力に余剰が生じている。水洗化率は、92.60%で、類似団体平均値を上回った平成25年度以降、堅調に続伸している。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、みなし償却制度廃止に伴い、平成26年度から大幅な増加となった。管渠と処理場別に平成28年度の有形固定資産減価償却率を見ると、管渠は約30%、処理場は約50%で、処理場の機械設備の方が管渠より法定耐用年数が短い分、老朽化が進んでいる。法定耐用年数に達した管渠は無いため、管渠老朽化率は0%だが、管渠の状態を調べ、更生工事を実施したため、管渠改善率は前年に比べ増加している。
全体総括
現状は総じて健全経営を維持しているが、今後、人口減少による使用料収入の減少、老朽化の進んだ施設の更新費用、修繕費用の増加が見込まれる。限りある財源の下、老朽化施設は長寿命化計画及び策定中のストックマネジメント計画に基づき、計画的に更新を行う。処理能力に余剰が生じている施設は農業集落排水事業と一体とした施設の統廃合を検討し、施設運営の効率化を図り、一層の費用圧縮を図る。