経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率については、総収益で総費用及び地方債償還金を賄えていない状況ですので、水洗普及の促進等により料金収入の増加を目指し、一層の経営健全化を図ります。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値と比較して高く、なおかつ前年度より上昇傾向にあります。これは、大型の区画整理事業の進展により管渠整備や雨水ポンプ場建設に係る費用が増加したことに起因します。しかしながら、現在の普及率は約52.38%であり、未普及解消を推進する必要があるので、整備費等平準化を図りながら適切な事業運営に努めます。⑤経費回収率は、料金収入で汚水処理経費が賄えており、今後も100%以上を維持できるよう努めます。⑥汚水処理原価は、類似団体平均値よりも低い状況ですが汚水処理に対する経費を抑えながら、今後もこの数値を維持できるよう努めます。⑦施設利用率は、類似団体平均値とほぼ同様でありますが、下水道事業は季節によって運転需要に変動があるので、汚水処理能力に注視しながら安定した施設稼動に努めます。⑧水洗化率(接続率)が類似団体平均値よりも低い状況にあるので、整備済区域内の住民ニーズを把握して水洗普及の促進に努めます。
老朽化の状況について
本市下水処理場は、昭和60年3月に供用開始して以来約32年が経過し、電気設備・計測設備等が法定耐用年数を越えている状況にあるので、下水処理場長寿命化計画に基づき老朽化対策事業を実施し、第1期計画を平成30年度までに完了させる予定です。管渠改善率については、類似団体平均値より低く、平成28年度においては0%となっている状況です。これは、既存圧送管の調査・補修に係る事業を優先させたため、昭和40年代に民間の宅地開発事業によって整備された汚水管渠(陶管)の改修を見送ったことに起因します。今後の老朽化対策としましては、処理場・ポンプ場・管渠等の施設を一体としたストックマネジメント計画を策定し、各施設の重要度・健全度に応じた調査・改修を順次進めていく予定です。
全体総括
・下水道事業は、施設型事業であるため初期投資として多額の企業債の発行が必要です。しかし、企業債残高対事業規模比率が高い場合であっても、経費回収率が100%を越えており、この状態を維持していけば、使用料収入により企業債の償還費用(元金・利子)が一定割合賄われることになるので、持続可能性のある財政運営が可能となっています。・老朽化対策事業や管渠の新設等には多額の経費を要しますが、各事業の必要性に応じ経費の平準化を図りながら整備を進めます。・経費回収率が、今後も100%以上となるよう水洗化率及び施設利用率の向上等を目指し、事業経営の健全性や経営基盤の強化を図ります。また、平成32年4月を目標に地方公営企業法の財務規定適用を図り、事業の経営状態や財政状態を明確にします。