経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は平成27年度の資本費平準化債一括償還等により一時的に下降したものの全体でみれば右肩あがりに推移しており,改善基調といえる。これは有収水量が増加傾向にあることや企業債の償還の進捗により償還金が減少していることが理由として挙げられる。企業債残高対事業費規模比率は類似団体平均値を下回っており,償還の進捗を示している。また、汚水処理原価,経費回収率ともに類似団体と比較すると良好であり,高い水洗化率により有収水量を確保していることや水道料金との徴収一元化による組織の効率化など,収支両面から経営の健全化の取組を継続的に実施している成果といえる。他方,老朽化が進行している下水道施設の改築・改修を含めた維持管理コストの増加が見込まれ,安定的な下水道サービスを持続するには経営基盤の構築が課題となる。そのため,平成32年度に予定している地方公営企業法の財務規則の適用などを契機とし,中長期的視点に立った経営の健全化を推進する。
老朽化の状況について
供用開始から37年が経過し,施設の老朽化が進行している。これまでの普及率の向上から施設の維持管理へのウエイトが高まってきており,管渠やポンプ場の長寿命化計画を順次策定している。平成27年度には,管渠の改築工事に着手しており,今後も長寿命化計画に基づき,改築・更新を進め,ライフサイクルコストの低減とともに事故の未然防止など市民の安心・安全の確保に努める。
全体総括
本市の下水道事業は,昭和50年に整備が始まり,市街化区域の整備は概ね完了し,幹線周辺の市街化調整区域の整備を行っている。現在,経費回収率等において類似団体の平均を上回るものとなっているが、施設の老朽化や人口減少など下水道事業を取り巻く状況の厳しさを増すことが見込まれるため,汚水処理費が増加し,経費回収率の減少することが懸念される。今後は公営企業法適用に伴う固定資産調査により下水道資産を把握し,経営戦略を策定することにより長期的な経営の計画を見越して経営の健全化に努め、安定した下水道サービスの提供ができるようにしていきたい。