経営の健全性・効率性について
【総括】平成28年度については、基準内繰入金の見直しを行ったことにより経営指標が改善しているが、経営の実態としては、昨年までと比較して大きな変化はないものである。①収益的収支比率については、収益的収入の大きな要素である使用料収入が、普及率の向上によって増加していることに加え、収益的支出では、市債残高の減少に伴い利子負担が減少傾向にあることから、数値は上昇傾向にある。④企業債残高対事業規模比率については、整備に伴って新規に発行する市債の額を元金償還額以下に抑える取組みを行っており、市債残高は低減していることから、数値は減少傾向にある。⑤経費回収率については、安定した経営を行っていくために指数の向上が必要であることから、普及率の向上による使用料収入の確保や汚水処理費の削減に努めていく必要がある。⑥汚水処理原価については、整備率及び水洗化率が類似団体と比較して低い水準にあることから、指標についても類似団体を下回っている。⑦施設利用率については、整備途上にあることから、処理能力にはまだ余裕がある状況にある。⑧水洗化率については、類似団体平均を大きく下回っており、整備率や普及率の向上が大きな課題となっている。
老朽化の状況について
③管渠改善率について、整備途上にあることから、現時点では更新(更生)・改良・維持等の管渠の改善は行っていない。
全体総括
本市の公共下水道事業は、未だ整備途上にあることから、平成28年度末時点での整備率は約85%、水洗化率は約84%と、類似団体平均を下回っている状況にある。今後安定した経営を行っていくため、さらなる整備の推進と普及率の向上等が必要であるが、国庫補助金の削減等により事業進捗は鈍化し、事業規模は減少傾向にある。一方で、人口減少や節水傾向に伴い使用水量は減少傾向にあることや、今後は老朽管の更新等の長寿命化事業にも取り組む必要があるなど、経営を取り巻く環境は厳しいものとなっている。今後は、企業会計へと移行することに伴い、固定資産の減価償却費を算出し、老朽化状況を正確に把握することで、経営状況をさらに明確化し、使用料の見直しも視野に入れながら、安定した経営の維持に努めていく。