経営の健全性・効率性について
平成28年度は公営企業法適用に伴う打切決算により特例的支出・収入が発生している。そのため、料金収入や維持管理費等が関係する数値については、一部、前年度までの傾向がより顕著になる、または逆転している箇所がある。「収益的収支比率」は年々上昇傾向にあるが、収益には使用料のほかに一般会計繰入金なども含まれている。上昇の要因としては、普及率と「水洗化率」の向上に加え、公債費の増加に伴い一般会計繰入金が増加していることが考えられる。現在の経営状況としては、使用料により汚水処理に係る維持管理費の全額を賄えているものの、公債費については全体の4割程度にとどまっており、残りは一般会計繰入金に依存している。平成28年度「汚水処理原価」は大幅に下がっているが、これは前述の打切決算の影響である。実際は、施設の老朽化等により汚水処理費は増加しているものの、「水洗化率」の向上により有収水量も増加しているため「汚水処理原価」はほぼ同額で推移している。「経費回収率」は、汚水処理費の抑制と使用料の増加により上昇傾向にある。「施設利用率」は平成25年度以降が58%台で、類似団体と比較してやや下回っており、施設能力に余裕がある状況となっている。要因としては、下水道普及率は100%近くに達しているが「水洗化率」は年々上昇傾向であるとはいえ平成28年度で87.28%と類似団体と比較しても低いことが考えられる。
老朽化の状況について
昭和45年より事業に着手しており、事業開始当初に布設した管渠については布設後47年経過し老朽化が進んでいる。そのため、平成26年度より長寿命化事業に着手しており、平成29年度から改築工事を実施する予定となっている。また、予防保全事業として布設後20年経過した主要な管渠を対象に、劣化状況の調査や管内修繕を実施している。
全体総括
今後も広域化、共同化、施設の統廃合や官民連携による費用の削減と水洗化の促進による使用料の確保に努めなければならないが、それでも公債費のほとんどは他会計からの繰入金に依存しなければならない状況が続くと見込まれる。平成29年度から地方公営企業法を適用しているため、固定資産等の数値を把握し、将来的な資本費を想定して事業を行っていくことが必要となってくる。経営健全化には水洗化率のさらなる向上は必須として、余力がある施設の見直しを行い、過大資産を保持しないよう、持続可能な下水道事業へ向けた取り組みを進めていくことが必要と考える。