経営の健全性・効率性について
平成30年度には、大口使用者の下水道使用量が一時的に大幅に減少したため下水道使用料収入が減少し、経常赤字を計上することとなったが、令和元年度以降は、下水道使用量が一定回復し、下水道使用料収入が増収となったため、再び経常黒字を計上することができており、また、令和2年度は、流域下水道維持管理負担金や支払利息等の費用が大幅に減少したため、経常収支比率は112.82%まで上昇する結果となった。流動比率は114.60%と、100%を上回る結果となっており、支払能力が充足してきたと言える。企業債残高対事業規模比率は433.67%と、全国平均値及び類似団体平均値比較でも良好であり、また、本町では下水道整備が概ね完了していることから、今後も減少傾向となることが見込まれる。経費回収率は98.05%と、類似団体平均値を上回っているものの、常に100%を下回っており、使用料収入で経費がまかなえていない状況である。汚水処理原価は127.07円/㎥と、全国平均値や類似団体平均値と比較して良好な値となっている。汚水処理原価が良好な値であるにもかかわらず経費回収率が100%を下回っていることから、本町の使用料水準は低い状況と言える。
老朽化の状況について
本町下水道事業は、平成29年度に法適用したところであるため、有形固定資産減価償却率は低い数値となっている。また、本町下水道事業は、平成元年度から供用を開始しており、供用開始からそれほど年月が経過していないため、老朽化が直ちに問題となる状況ではないが、一部、供用開始以前に民間開発により敷設されたものを本町で引き受けたものが標準耐用年数の50年を経過しており、令和2年度では、管渠老朽化率が3.28%となっている。今後は、ストックマネジメント計画(平成30年度策定)及び下水道ビジョン(令和3年度末完成予定)に基づき、適切な維持管理を行い、計画的かつ効率的な修繕改築を進めていく。
全体総括
令和2年度は、前年度に引き続き経常黒字を計上することができたものの、今後は、人口減少や節水機器のさらなる普及、機能向上により有収水量の減少、使用料収入の減少が見込まれることから、下水道事業の経営環境は、さらに厳しくなることが予想される。本町下水道事業は、平成元年度から供用を開始しているため、管渠の老朽化については直ちに問題となる状況ではないが、今後、長期的に計画的かつ効率的な修繕改築を進めるためには、その財源の確保が必要となる。この財源の確保について、下水道ビジョンを策定するにあたって改めて検討し、使用料収入と企業債、一般会計繰入金のあり方について整理を行った。今後は、安定的で持続可能な事業運営が実現できるよう、下水道ビジョンに基づき事業経営を進めていく。